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クラウドファンディングの商品が届かない!被害が続出、「格安で提供」の罠

「クラウドファンディング」という言葉は、今やすっかり定着した感がある。インターネット上で資金を集める有効な手段の一つとして認知され、多くの成果を上げている。一口に「クラウドファンディング」といっても、その特徴によっていくつかのタイプに分類されていることはご存じだろうか。

その一つが、「購入型クラウドファンディング」だ。これは、特定の商品の購入を目的とする人々が支援者となるクラウドファンディングである。支援者は自分が欲しい商品に関して、企画の実施者が提示する金額を支払う。そうして集まった資金を使用して、実施者は商品の開発や提供を行うというものだ。

購入型クラウドファンディングで被害に遭ったという相談が、このたび当サイトに寄せられた。いびきを防ぐ効果があるとされる商品「イビキトリーナ」を通常価格よりも格安で提供するという企画を、合同会社アスタイルがクラウドファンディングサイト「Makuake」にて実施した。ところが、商品がいつになっても届かないというのだ。

 

 

情報提供者は、2018年7月に1万6200円を支払った。その後、11月と12月にアスタイルは、商品の発送が遅れていると報告。アスタイルがMakuakeに掲載した説明によると、「生産自体は完了しておりますが、Bluetooth認証の取得に時間がかかっている」という。

 

 

 

年明けに発送との通知もあったが、それ以降も商品は届かなかった。そのため、情報提供者は本件をMakuakeに伝え、返金を求めた。すると、アスタイルに連絡がつかなかったという回答がMakuakeから届いた。「電話連絡、本店訪問並びに実行者の本店及び代表者宅への書面等も送付しておりますが、一切返信等ない状態でございます」と書かれている。

 

 

当サイトでは、アスタイルへの取材を試みた。だが、「ネットワーク設備が故障している、または相手の通信機器の電源が入っていないか、故障していると思われます」という自動音声が流れ、企業の関係者が電話に出ることはなかった。そこで、当該企業の様子を確認するために現地へ向かった。

アスタイルの所在地としてホームページに記載されているのは、東京都千代田区の建物の一室だ。建物の入口は、オートロックになっていた。呼び出してみたが応答はなく、不在の模様だ。一方、アスタイルの破産手続開始通知書が一部の支援者に送られてきたという情報が、新たに出回っている。

 

 

東京都消費生活総合センターに尋ねたところ、個人間でのクラウドファンディングは「消費生活」という枠組みに適合しがたいが、本件のように事業者が企画したものに関しては相談を受けることが可能であるという。トラブルについての相談先は、被害を受けた当人が在住の市区町村もしくは都道府県の消費生活センターである。

センターは代理人にはなれないとしても、消費者と事業者の間に入って調停を図る、「斡旋」が可能な場合がある。ただし、斡旋が可能と見なされた場合には、消費者が事業者に対して、最初に書面での通知を行う必要があるという。書面が届いた後で、事業者側に見解を尋ねたり、法的な解釈を提示したりといった対応がとられる。

まずは、自身が受けた被害の実態について、その証拠となり得る資料(メール、画像等)を相談時に提示してほしいという。その後に、センターがそれらの資料の詳細を確認した上で、対応を検討するという流れだ。しかし、本件のように先方に電話がつながらない事例では、そうした対応が難しいこともあるそうだ。

相手に全く連絡がつかない場合は、警察に相談するという選択肢もあり得るとのこと。当該商品を購入できるという前提で支払ったのだから、これは債務不履行に該当するという。アスタイルが約束を守らなかったことに加え、Makuakeの対応にも納得しがたいという不満や怒りの声が相次いでおり、公的機関の調査による実態の解明が期待される。

※モザイク加工は当サイトによるもの

 

高橋 

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