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台風直撃で多摩川が氾濫!浸水した二子玉川、「観光客」が殺到で住民は困惑

※2019年10月13日の夕方に取材で現地を訪れた際には、既に日が沈んでおり、鮮明な写真の撮影が困難な状況でした。そのため、本記事に掲載する画像には、後日に現地を再訪して撮影したものが含まれています。


二子玉川で浸水

このたびの台風19号の影響により、各地で多くの被害が発生した。東京都でも被害の報告が相次いだが、注目された場所の一つが二子玉川駅(東京都世田谷区)近辺だ。多摩川が氾濫し、駅周辺が浸水する事態となった。一帯は人々の生活の場となっており、災害対策の在り方が改めて問われることとなった。

 

 

被害が発生したのは、「もともと堤防がない場所」であり、国土交通省の河川事務所や世田谷区が「土のうを積んでいたが、隙間から川の水があふれ出したという」(日本経済新聞・2019年10月12日の記事より)。景観や自然環境を損ないたくないという理由から、堤防の建設に反対する意見もあり、過去には様々な対立があった。

 

現地の様子は

多摩川が氾濫した翌日の10月13日、読者から当サイトに情報が寄せられた。情報提供者は、二子玉川に比較的近い場所に住んでいる。駅周辺が浸水したことを知った情報提供者が13日の午後に現地を訪れると、多摩川付近には多くの人々が集まっていた。人々は盛んに周囲の様子を撮影しており、まるで「観光客のようでした」という。

当サイトでは、13日の夕方に現地へ向かった。駅から多摩川方面へ歩いていくと、道路は既にほぼ乾燥しており、所々に土埃が付着している程度だった。だが、多摩川の近くまで来ると、流れ出た土が路上に堆積している場所もあった。多摩川周辺では、現地の様子や漂着物等を撮影している人々の姿が少なからず見られた。

 

 

特に人々が集まっていたのが、多摩川が野川と合流する兵庫島公園付近だ。この辺りは道がぬかるんでいて、歩くと足が泥に沈んでしまう。記者の少し前を歩いていた男性は、足を滑らせて危うく転倒しそうになっていた。その男性に話を聞くと、「多摩川の氾濫が話題になっていたので、どんな様子か気になって見に来ました」という。

 

 

10月15日の午後、兵庫島公園付近の様子。13日の夕方には、より多くの人々が集まっていた。


地元住民の声

川沿いには、今回の台風で倒れてしまったと思われる木が放置されていた。自宅前を掃除していた女性によると、浸水前に家族と共に無事に避難することができたという。女性曰く、12日の深夜、台風が通り過ぎてしばらくすると、多摩川付近には「川の様子を見に来ている人が何人もいました」という。

 

 

多くの人々が訪れることについては、「あれだけニュースになると、来たくなる気持ちは分かりますが・・・」と困惑を隠せない様子だった。多摩川が氾濫する可能性については予備知識として持っていたが、「ここまで水が押し寄せてくることはないだろう」と漠然と考えていたそうだ。「また次(の災害)が来たら、と思うと怖いですね」。


まとめ

多くの人々がSNSを利用している現状では、リアルタイムで各地の情報がネット上に発信される。その中には、メディアによる報道ではカバーしきれていない、貴重な情報も含まれていることが珍しくない。しかし、今回のように多くの人々が「観光客」のごとく訪れることは、被害を受けた地元住民にとっては複雑な心境だろう。

人々が災害の現場に殺到することについては、「危険性」という観点からも考える必要がある。台風が通り過ぎたからといって、直後に現地を訪れることは危険だ。興味本位で訪れた結果、自身が怪我をしたりすれば、地元住民の救助活動等を行っている人々の妨げにもなり、本末転倒だ。そのような事態は避けるべきではないだろうか。

 

高橋 

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