厚労省の若者の雇用対策アニメ、フリーターに差別的な表現が満載?その真意は


厚生労働省が若者の雇用対策の一環として作成したアニメ「僕らの明日~フリーターの現状に関する若者への周知・広報事業~」が、YouTubeで公開されている。2015年に公開され、現時点までに視聴回数は43万回を超えている。この動画を閲覧した人物から、「フリーターに対する差別的な表現が満載だ」という指摘が当サイトに寄せられた。

大学を中退してフリーターになった主人公の男性や、やりたい仕事が見つからない女性らが、作品には登場する。情報提供者は動画を見て、「フリーターがいかに惨めな人生を歩むか」、「フリーターに課される責任は正社員同様に重いのに、企業からいかに軽く見られているか」といったことを視聴者に訴えかけるものと受け止めたという。

アニメの内容には、フリーターへの差別や偏見を助長し得る表現が多く見られると、情報提供者は疑問視する。一例として、主人公の先輩が、「しばらくフリーターやってて、最近就職したんだ」と述べる場面がある。このセリフは、「フリーターであることは、『就職』ではない」と言っているに等しいのではないかというのだ。

主人公が、「君には仕事としての自覚が足りないんじゃないのか?アルバイトとはいえ、仕事は仕事なんだよ」とバイト先の上司から叱りを受ける場面もある。これは、アルバイトの人々とその仕事を軽視した表現ではないかという。こうした表現は、非正規雇用の立場でまじめに勤務している人々を傷つける不当なものであると、情報提供者は憤る。

 

 

主人公は、フリーターのままの場合と正社員になった場合を比較して、その後の人生を以下のように想像する。23歳フリーター「今月も給料入ったぞ。でも風邪で3日休んじゃったから、ちょっと少ないな」、23歳正社員「初のボーナスだ」。30歳フリーター「新しい店長が俺より年下だって?はぁ、ショック」、30歳正社員「係長に昇進したぞ」。

40歳フリーター「もう40歳、そろそろ落ち着こうかな。でも就職先、なかなか見つからないな」、40歳正社員「部長に昇進。部下も増えて仕事も充実」。60歳フリーター「高校生のアルバイトと時給が100円も変わらないなんて」、60歳正社員「会社を定年退職、第二の人生を計画中」。

 

 

フリーターにならざるを得なかった背景は様々であるはずだが、「個人の努力不足」という点ばかりをアニメでは強調していると、情報提供者は述べる。厚生労働省に尋ねたところ、「自分の意志でフリーターをやっているわけではない。できれば正規雇用されたい」と思いながら実現できていない人々の支援こそが、アニメを作った目的であるという。

若者が自分の将来を考える時に、アルバイト、契約社員、正社員といった様々な雇用形態の違いやそれぞれの特徴を十分に把握できていないことが多いという。働き方や自分の将来について、漠然としか考えられていない状態にある若者に、きちんと考える機会を提供したいという狙いもあったそうだ。

 

 

 

 

現在、政府が進めようとしている「同一労働同一賃金」が実現すれば、アニメ内で語られる問題の多くは片づくのではないかと、情報提供者は指摘する。厚労省の担当者によると、アニメが目的としている若者の就職機会の支援を行う一方で、「同一労働同一賃金」等を並行して進めるという方針であり、両者は矛盾しているわけではないという。

 

高橋 


SNSでもご購読できます。