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メールの限界に挑戦!


今日は休日。あぶない探偵にも休みがあるのだ。
何をして過ごそうか。私は散歩をするのが好きだ。
閑静な住宅街なんて最高だ。静かだし、何気に景色がいいのだ。
ただあまり長時間同じところをうろついていると警察を呼ばれてしまうのが残念なところだ。

時計が午後の三時にさしかかろうとしていた頃、携帯がメールの着信を告げた。
どれどれ、誰だろう。携帯を開く。

どれどれ。

大住さんだ。打ち合わせの時間を聞いてきている。
そうだな、よし決めた。返信を…、ん?

んん?

……。

ご、せんじ、で…?

五千字。原稿用紙12枚半。
というか、最近の携帯のメール一通の限界の容量は10000バイトで、
一文字、全角で書くならそれは2バイト、すなわち10000バイトで五千字。

メールの限界に挑戦、ってことですか?

上司の命令は絶対だ。何に代えても守らなければいけない。貴重な休日が突然地獄に。
五千字?普通に大学のレポートぐらいの分量を費やして、次に会う日にちを言え、と?
明日会うに決まっているが…、その時間を…?
どのみちやるしかないのだが…、こんなアホなことに一日を費やすことになろうとは…。
どっちくしょう!やってやろうじゃないか!!

挑戦開始!



午後三時。 0/10000バイト

空白。

「明日○時」

四文字ですむメールをどうやって5000字にすればいいのだろう。
とにかく考えている暇は無い。時間の約束のメールは早さが命だ。
ただがむしゃらに打ちまくる。

打つ。と書こうとしたら鬱と出た。


午後四時。 2046/10000バイト

この一時間は私の人生のゴールデングローヴ賞だ。
すっごく頑張った。こんなに一生懸命メールを打ったのは人生で初めてだ。それでね、

約1000文字。

一時間で1000文字しか書けない?
ちょっと待ってくれ。

ちょっと待ってくれ。

すっごく頑張ったのだ。いや、人前で「頑張った」なんていうと馬鹿みたいだが、
それでも言いたくなるくらい頑張ったんだ!めちゃくちゃトバしたんだ。
それで1000文字?

「1000文字っていったら五分の一じゃないか、あと四時間頑張るだけ、たいしたことないよ」

まだわかってない。貴方はほんっとにわかってない…。
べジータという超強い人がいる。知らない最近の小学生中学生のみんなはお父さんに聞こう。
彼は超強いにも関わらず大抵の敵に負けそうになる。
まぁ、これは彼に罪は無い、大抵作者と編集の意図による演出だからだ。
彼は負けそうになると敵に向かって手から光線を連打する(そう彼は手からビームが出るのだ!)。
勝てないとわかると自分の全部の力をがむしゃらに使ってビームを連打する。
それでも当然敵は無傷なのだがべジータという超強い人はもうへろへろだ。

これが私の今の状況なのだ。
これからが本当の地獄だ…。


午後五時。 4142/10000バイト

約2000字。

新しい事実が判明した。二時間メールを打っていると腕が痛くなる。
筋トレになるのだ。
また頭がぼうっとしはじめる。
脳が退化するのだ。

多分今この人間のIQは70無い。

なんで私はこんなに一生懸命親指を動かしているのだろう。
理にかなっていない。キーボードなら推敲なしで一時間で5000字書ける自信がある。
ってか、メールの容量全部使う必要性は??
疑問が頭を駆け巡る。駆け巡っても出口が無い。すなわち脳が腐る。
脳腐。豆腐は好きです。ファック。


午後六時。 6066/10000バイト

約3000字。

一時間で1000字のペースをキープできているのは奇跡的だ。
何故ならトイレに行き、用を足し、帰ってきた瞬間に、
「携帯なんだからトイレでも書けばよかったじゃないか」と気付いて
悔しさのあまり十五分ほど書けなくなった。

へなへなとへたり込むほどショックを受けた。

これってよく考えたら異常なことなんじゃないのか?

ここまで書いた文章を読み返している。

正直な話、なんでこんなことを書いているのか意味がわからない。
この記事の最後で全部公開するが、一応軽く触れさせてください。

大住さんの尊さはエメラルドだ。
教皇はアスカが好き。
地球空洞説は本当だった。


さっき鏡を見たら唇の端がひくひく痙攣していた。

やっべぇ。


午後七時。 7408/10000バイト

約3700字。

徐々にペースが落ち始めた。後ね、さっきからね、

なんにもおかしくないのに笑いが出るんです。笑いが。ひひっ。って。

よくここまで来れたと思う。後1700字。もう折り返し地点をとっくに過ぎて、
あとちょっと適当に書き付ければ終わりじゃないか。


そう思う方はやってみてください。

ああ、もうだめだ。ああ、もうだめだ。
文字を書きます。それを見ます。何故か消します。また同じことを書きます。消します。
何で?手が勝手にそれをやる。あああああ。

何を書いていいのかわからない。
怖いのだ。訳のわからない強迫観念が私の頭上に渦巻いている。
何を書いていいのかわからない。
もうだめだ。最悪だがこれしかない。

焼酎を一気にあおる。

酒を飲まなければ書けない?
なんだ?俺は中島らもかなんかか?


午後七時半。 8200/10000バイト

約4100字。


飲んでも書けねぇよ。

さらにメールの文面は訳のわからないことになっている。
不意に、「家で飼っている金魚が急に爆発しました。救急車を呼ぶのでこの企画中止で」
と書いて30秒ほど考えて消したりしていた。

ちょっと考えたんですよ。別に五千字だったら、
「あ×4996字 明日○時」でいいわけじゃないですか。
学校教育の賜物なんでしょうか?文章にしろと言われると何故か文っぽいものを書いてしまう。
構成を考えてしまう。これが罠なんだ。

もうこの段階で結論を言いますが、
メールの容量をフルに使う、これはつらいです!!

…、だってこんな顔してメール打つ人見たことあります?

歪んでいる。

なんですかこの人。親の死でもメールで知らされたんですか?
ねぇ、docomoでもauでもなんでもいいですけど言いますよ。
メールに10000バイト、文章だけなら絶対必要ねぇよ!!!!


午後八時。 8974/10000バイト

約4500字。

あと、500字。
あと500字。
500字。

500字が書けん!!!

不貞寝。

いや、寝はしません。突っ伏しただけです。
この瞬間。五時間携帯メールを書き続けた人間がどんな心境なのか詳しくお伝えしましょう。

後悔です。

もっと面白くできたんじゃないか。
複線とか張ればよかったかな。
それ以前にプロット立てて書けばよかった。
終わっていいのかな。

ええと、ですね恥ずかしながら皆さんにお伝えします。

本気でこんなこと考えてます。

ストックホルム症候群、というのでしたっけ?
銀行強盗などで犯人と監禁された人質が極度の緊張状態にあり続けると
そのふたりの間に愛情が芽生えるという現象です。

私とこのメール文章はストックホルム症候群かもしれません。

送り出したくない。あんな傍若タオル大住さんの元に送り出したくはない。俺のメール…。


とかなんとか、あと500字書けない俺のゴミ脳をごまかしています。

やったる!!



そして。


午後九時十五分。 10000/10000バイト

…やった…。

へっへ。

うえっへっへっへ。

やった。やってやったぜ。

あのタオルもまさか俺が5000字本当に書くとは思ってなかっただろう。
最高でも半分くらいはコピペと「あああ」の連打でごまかすと思っていただろう。
それ以上に最後らへん容量が不足したもんだから前に書いた奴消して書いたからな!!

驚きやがれ!俺は!正真正銘!六時間かけて!5000字のメールを!打った!

見て驚け!!


送信


メール文面↓。
2008/04/16/21:17 TO:大住携帯 SUB:RE:無題



時間というものは全人間共通のものであるという認識が少なからずあるように思われますが、実はそうではないのは大住さんもご存知の程であると思います。中年期、青年期、小年期における時間感覚の変化をとってみれば明白な事ですが、小学生の時分、時間が経つのが非常にゆっくりと感じられました、放課後の近所の草っぱら、友達と歓声をあげながら野球ボールを追い掛けるあの興奮。幼い、まだ水気が残る日焼けした頬を滑り落ちる汗、心臓は力強く脈打ち、絶えることのない吐息を矢つぎ早に促しますが、また大きく息を吸い込めば次の瞬間には走り出せる。そうして夢中、笑い、友の背中、太陽の光線、年をとってからではけして取り戻せない尊い、値段をつけようとするだけでも馬鹿馬鹿しいような素晴らしい時間が過ぎていきます。そして、少年は気付くのです。「まだ、日が暮れてないんだ」しかし、年を経ればどうでしょう?「最近、時間がすぎるのが早くなってねえ…」こうした言葉が聞かれることが多くなります。実際我々の身近な体験としてもよく思い当たるフシがあると思います。例えばニコ動。このサイト
は動画ファイルを不特定多数が投稿、その投稿されたファイルを不特定多数が閲
覧して楽しむという主旨のサイトで非常に有名ですが、このサイトを俺が利用す
るとします。夜の一時に。検索タグを入力して好みの動画を探します。俺は音楽
関係の動画しかみないので適当に「たま」の知久寿焼を入れましょう。すると「
ボガンボス」の永井と二人でやっている「おるすばん」という楽曲の映像が検出
され、それを見ます。感動もします。それと同じようなことをあと二十回します。
するとどうでしょう。カーテンの外をご覧になってみてください。「ああ…、もう
朝か…」そういう感想を持つと思います。そこで。そこでです。ひとつ胸に手を当て
て考えてみてください。動画を無為に見ていたらいつのまにか朝。そこに感動はあれ
ど時間の経過の無慈悲を嘆く気持ちがほんのわずかでも自分の心の中に無いと、いい
きれますか?全ての感慨を運び去る狂熱を孕んだ小年期の数時間と、我々の数時間は
こうも違う。年齢だけでもこれほどまでに如実な差異が浮彫りになるのです。性別、
職業、宗教、住んでいる地域、健康状態、家族の有無。これらによってその人にとって
の時間の感覚はまるで違うものになる。ですから時間感覚が万人共通のものであると
認識することはある種の意味合いによっては非常に危険なのかもしれません。
そこで大住さん、あなたはメールでこうおっしゃいましたね、「打ち合わせ
するから空いてる時間を教えて」。問題はこのあとです。「5000字で」そう。
これが素晴らしい。編集長としての手腕がきらりと光っております。それはまるで
悠久の砂漠、果ての無い稜線、動くものは星の瞬きと風に巻かれる砂、退屈そうに砂に
足跡をつける灰色のトカゲ…。時間の流れすら風化してしまいそうなそんな砂漠で大自然の
気まぐれるままに砂にうずもれていたエメラルドが地表に顔を出す。過去の文明の遺物か、
それともうっかりもののキャラバンの落し物…?それすらはっきりしないまま、また宝石は砂に隠されていく。そんな尊さ、素晴らしさを感じます。つまり大住さん、仕事の上での時間の連絡ミスは命取りであるから、ここは細心の注意を払って5000字を費やして完全に
連絡ミスがないような返信メールを送りなさい、ということなのですね。あらゆる危険性を
危惧しているわけだ。頭が下がります。またあなたに対する敬意が今一度強く燃え上がります。ところで、もう一時間経ちました。えー、一時間です。あのですね、俺は今メールを打ち続けて一時間買い殺しにされているわけです。問題は一時間以上必死こいてメール打ち続けて1700字しか打てていないわけでこれを打ち終わるころには日が暮れます。昨日事務所で言ったから知ってますよね?俺 は 今 日 休 み なんですよ。ねぇ?休みの日って普通なにされますか?掃除したり洗濯したり買い物いったり、ちょっと足を伸ばして美術館なんてのもいいですよねぇっ!それを今俺は一心不乱にメールを打つことに費やしてる訳だ。これは世間一般で最悪
というのではないのですか? …。…ええと、えー、すいません。スランプです。来ました。メールでスランプて。もうかれこれ十五分も書けてません。
ファック。失礼。失言でした。がんばっていきましょう。そうそう打ち合わせの時間でしたね。それをメールの容量一杯に書くのでしたね。例え話をしましょう。地球空洞説というのがあります。これ実は本当なんです。南極とイスラエルとバチカンとネバダ州のエリア51に入り口があります。日本人ではEVAの庵野監督が地球の内部に入ったことがあるそうです。入り口はバチカン。教皇がEVAの大ファンでmixiを通じて友達になったそうです。使従とかそういう要素が良いのかと思いきや、アスカが良いようです。カジさんの声優をやらせてくれ、と教皇は監督といいちこを飲みながら懇願したそうですが、監督は難色を示し、だったらいいものを見せてやる、とイタズラ小僧のように笑う教皇。そのようにして監督は地球の内部を見、それはしっかりとEVAの中でジオフロントのモデルになっています。しかし残念なことに教皇はカジさん役はもらえませんでした。悲しいこと です。庵野監督、こうおっしゃってましたよ。「だって彼…、日本語下手なんだもん」ゼーレの中で一っ言も喋らない人がいたらそれが教皇です。あ、教皇っていっても、あれじゃないですよ。キュベレイみたいな服を着たローマの偉い人じゃないですよ。セイントセイヤの教皇です。あの立ち位置も重要性もよくわかんない人です。まぁこのようにして地球の内部に入るには特別な社会的な地位とか、コネクションなどが必要になってくるわけです。先程挙げた地球内への入り口四ヶ所、これは一般の方が利用するのは難しそうです。しかし悲観しないでいただきたい。地球の中に入りたい…!でもどの入り口も使えない…!心悩ますあなたの純粋な気持ちに打たれました。特別サービス、今回だけですよ、あなたにだけ、
特別な地球の入り口、教えちゃいます!!それは…、あなたの、心の中です…! 
 …、「次に会う時間を伝えるだけのメール」をですね大住さん。5000字で書こうとするとこんなことを俺が書かなきゃいけないみたいな悲劇が発生するんですよ!EVAみたことないからウィキペディアで調べちゃったじゃないか!俺の中でアニメはセイントセイヤで止まってるんですよ!うあああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああ!殺せ!殺せぇっ!
うああああああああああ!俺を殺してくれ!もういやだ!メールなんてみたくない!
そもそもメールなんて俺はだいっきらいなんだ!絵文字も嫌いだ!
みんながメールで俺の悪口言ってる。そうに決まってる!
電車に乗って席に座る。両隣にはスーツを着たサラリーマン風の男と
真珠のネックレスをつけたお婆さんが座ってる。それでそいつらは携帯電話を手に持っていじってるんだ。俺を挟んで二人でカチカチ携帯をいじってるんだ!
サラリーマン風の男がメールを送信した。するとお婆さんの携帯がちょうどメールを受信した。こんなのサラリーマン風がお婆さんにメールを送ったに違いないんだ。そして内容はこうだ。「となりの男うざくね?」お婆さんがメールを打つ。そして送信する。やはりサラリーマン風の携帯がちょうどメールを受信する。
もう黙っていたってわかるぞ。お婆さんががサラリーマン風にメールを送ったに決まってる。内容はもちろん「うん、私も思ってた、つか臭くね?」だ。
口の中がからっからに乾く。動悸が早くなる。冷や汗が吹き出る。熱いのか寒いのかわからない。
めまいがして、焦点が定まらず、窓の外を見ようと反対側の座席に視線動かす。そこにも、
見つける。赤いフレームのメガネをかけた女の子が携帯電話をいじっている。送信。
彼女の三つとなりのおじさんの携帯にメールが届く。駄目だ。もう駄目だ。確信しかない。
胃が反り返る。思わず吐きそうになる。首の筋肉がこわばって、辺りを見回せない。でもゆっくりと、カタツムリが紫陽花を這う速度よりもゆっくりと、首を動かして辺りを見回す。午後八時の上りの京王線。席はほとんど埋まってる。視界に入る全ての人が手の中で携帯、いじくりまわしていて。送信。受信。俺の悪口。送信。受信…。悪意の電波が俺をつつみこんでいる。つつみこんでいる。つつみこんでいる。体の皮膚から外側に一センチくらいのところまで人間には、その人間の意識が気流の層みたいに停滞していて、悪意の電波はそこを侵食するから俺はもう狂う。意識が悪意で満たされる。狂う。
「その携帯電話をしばし拝見させていただいてよろしいでしょうか?」乾ききった舌で急に言葉を発したものだからまともな発声にはならなかった。
多分半分も聞き取れなかったはずだ。関係ないだろう。どうせこの人たちにはメールの文面でしか、言葉は届かないのだから。サラリーマン風が俺の顔を凝視する。「え?」「貴方の携帯電話を拝見させていただきたいと私は言った」サラリーマン風は怪訝そうな顔をすると再び携帯に視線を戻す。無視。こうなることはわかっている。「失礼」俺はサラリーマン風の手から携帯をもぎ取った。「ちょっと!何をするんだぁ」腕を強く掴まれる。携帯のディスプレイ、ぶれて見ることが出来ず、糞、この男、力が強い、手の皮が固い、格闘技をやっている人間の手、そんな人間が必死で携帯を奪い返そうと俺の腕を掴む。この態度で確信する。絶対、絶対にこいつらがやりとりしていたのは俺の悪口だ。見なければならない。証拠を押さえなければならない。携帯を掴んだ手に力を込める、しまった、
掌にかいた冷や汗がまだ乾いていない、すべる、このままでは、
携帯を取り戻されてしまう。体を捻った拍子に俺と男はシートから滑り落ちた。
通路に肘を打ち付ける、鋭い痛み、馬乗りにされ、俺はさらに抵抗、
糞、肘の痛みは尋常じゃなく、これは骨か?最悪なことに左。利腕で。
男が体を支えようと地面に手をついたそこが左肘、俺は携帯を離してしまった。
痛み。汗が目に入る。息が上がり身動きがとれない。ようやく視界の像が輪郭を結ぶと、サラリーマン風が肩で息をしながら俺を見下ろしていた。もう駄目だ。男は携帯をしまう。次の駅で降りる。駅員を呼ぶ。俺が駅員に取り調べられている間に俺の悪口が書かれたメールは全て削除してしまうはずだ。体から力が抜けた。結局俺はいつもこうだ。唾を吐いた。もみ合いの中で口の中を切ったのか、血が混ざっていた。てらてらとした唾液のなかに血が揺らいでいた。赤い。俺の血が。すると男はこんなことを言った。「人の携帯がそんなに見たいのか?」ああ。「奪いとろうなんて乱暴すぎやしないか?」言葉もない。「これで気が済むなら、みればいいじゃないか」男が…、画面をこちらにむけた…。車内
の照明が反射してうまく見えない。みてもいいのだろうか?馬鹿馬鹿しい話だが
こんな瞬間に俺は躊躇した。目を凝らす。よく見えない。見えた。それは…、子
供を抱いた彼の写真だった。その後、俺たちは電車を降りて、バーに入って話を
した。いろんな話を聞いた。結婚していること、四才になる娘がいること、娘が
家の壁に落書きするのだがそれがパパとママの絵で叱れなかったこと、そして彼が今夜、
敵の秘密組織と戦い、死ぬかもしれないこと。「何故、戦うのですか?」
彼は恥ずかしそうに言う。「愛する者がいるからさ」俺は、思った。
この人を死なせては、いけない。そして、一時間が経った。
彼はグラスのバーボンを飲み干す。「それじゃ、また会えたら…、うっ!」彼がカウンターに倒れこむ。「き、君…」「ごめんなさい、睡眠薬を使いました」
「な、何故?」「南の埠頭でしたよね、敵のアジト」「も、もしや」「あなたは帰るべき場所がある、死んじゃいけない」「ま、待つんだ!行ったら死ぬぞ」「駄目です。
あなたの義務は戦うことじゃない、生きて娘を抱き締めることだ」「…」「大住って人
に会ったら伝えてください。明日の二時に事務所で会おう、って。タオルを頭に巻
いてるからすぐわかります…、じゃ!」扉をくぐる、ひどく寒かった、前を見据
える。手が震えている。歩き出す。いかなければならない。俺のゆく道は荒野をゆく道だ。

さぁ、一番の楽しみは、

もうみなさんお分かりでしょう。

このメールの送信者、大住有編集長は、絶対、きっと、返信が帰ってくるとは思っていなかった。
一人だけ休日を味わっている野郎に対する嫌がらせだったわけだ。
それで私から「ええー、またまたぁ、明日は二時で」みたいなメールが帰ってきて、
「ははん、やっぱこいつは根性の無いクソ野郎だ。給料へらそ」
みたいなリアクションとってへらへらするつもりだったわけだ。

しかし私は本当に5000字のメールを返した!

ざまぁみやがれうへへへへ!!

返信が楽しみだ。もしかしたらメールじゃ収まらず電話かもしれない!
そして!!



メールが帰ってきた!!











…あの、私の休日は…?



ニノマ
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