さて、先日のBOSSのスパイ日記「口蹄疫の真実」拝見させていただきました。地元の人間として大変興味深い話題でした。畜産関係者は「口蹄疫が拡大するから取材記者も来るな。うろちょろするな」とおっしゃるくらいですので。
※発生の経過や現場の状況・噂話などは別添ファイルにまとめて記載しました。
先日、実際に現地・川南町を見てきましたがテレビで報じられているほど「生き地獄」「陸の孤島」といったような状態ではありませんでした。商店街は閑散としており・・・といった映像も流れていますがそもそも元からそんな所なので。
車の往来もそこそこ多く、パチンコ屋にもそれなりに人が入っていました。ただし現場に携わる人は本当に地獄と呼ばれるに近い状況のようです。あちこちに自主消毒ポイントがあり、白い防護服を着た現地スタッフも多数見かけました。

消毒

そこら中に消毒用の石灰がまかれて白くなっているのを見ると町民の苦労やこれ以上拡大させたくないとの思いが伝わってきます。にも関わらず、一番気にかかったことは往来する一般車のほとんどが自主消毒ポイントを素通りしていくことでした。

宮崎

畜産農家は現場に出入りする車や人だけ消毒しても仕方ない、と叫んでおります。現場スタッフとしても「全ての一般車を消毒するのは不可能。おそらく2割でも回らなくなる」と言っていましたがこれで本当に大丈夫か?と思わされました。
スパイ日記の記事中の1枚目の写真は「宮崎県農業大学校」の入口ですね。この中にはブランド牛の種牛まで被害が及んだことで話題の「宮崎県家畜改良事業団」が入っています。画像の通り、敷地内が石灰で一面真っ白になり、施設は閉鎖されています。ところがこの目の前を通る国道10号線は常に車の往来が多く、渋滞することもあります。

閉鎖

これが今回の被害拡大に全く影響がないとは、個人的には思えませんね。

現在県内では政府、民主党に対する非難がピークに達しています。が、その前に近隣市町村の方々達がより防疫意識を持つことも大事なのでは?と思わされました。

以下、聞き込みの結果を報告します。





県職員 30代女性

・発生のプレスリリースは4/20(感染の疑似事例が確認されたのは4/6)だが、実際が発生したのはまず間違いなく3月末。県の初動が遅かったとの指摘もあるが、そもそも初めに発症したところからの一報が大幅に遅れたから。

・安愚楽牧場(本社栃木県 http://www.agura-bokujo.co.jp/index.html)が発生元ではないかとの見方が多数→感染頭数が他の牧場より圧倒的に多い。都農町・川南町からかなり距離がある宮崎県えびの市での1例目の感染が安愚楽牧場。プレスリリースの前に発生を隠し、移動させたのでは?と言われている(川南町含む児湯郡地区に1000頭いるはずの牛が700頭ほどしかいなかった、との噂があるとのこと)。

・感染源は他国の稲わらだと思う。ただし国内ものだけじゃ足りない現実があるので、感染源だとしても責められない。

・24時間体制で県・市町村・JA職員交代で自主消毒ポイントでの消毒作業を行っているが、素通りの一般車がほとんど。一般県民の防疫意識が低い。

・自民党がいち早く対策本部を設置するなど対応が早い。当初から現場に顔を出しているのは自民系の議員がほとんど。GW中も休日返上で毎日顔を出していた。

・そんな中、地元選出の民主 川村秀三郎議員は自身のブログ(http://www.kawamura-hide36.net/cgi-bin/hide36blog/diary.cgi)でバーベキューをしたりカラオケに行ったりとの記事をあげており現場人員から総非難を浴びている。

県職員 40代男性

・畜産関係者も大変だが、農業従事者も先行き深刻。堆肥が移動制限されており、野菜の作付も出来ない状態。これから秋・冬にかけての農作物に重大な被害があると思う。

・消毒をもっと徹底したいが消毒液が足りない。ストックがもうあとわずか。小沢さんが宮崎の前に中国や韓国に渡したと聞いているけど・・・

・ブランド牛の種牛もやられた。事前に移動・隔離した6頭が残っているがこれも経過観察中。この6頭からもあとどれくらい生産できるか分からない。原状復帰するには10年じゃきかないでしょう。

・児湯郡の人達には申し訳ないが、畜産の主力の都城市や県北地域せめてもの救い。そこまで被害が及んだら宮崎の農業は終わる。

・殺処分については埋用地も足りないが現場の人員も足りない。ボランティアの申出も多いけど家畜の扱いに慣れている人、重機の扱える人でないと作業出来ない。それよりも一人ひとりがこれ以上拡大しないよう防疫体制に協力してほしい。

・獣医さんが殺処分するとき「豚は暴れるが、牛は殺されるのが分かっているかのようにじっとこっちを見ている。本当に辛い。」と涙ながらに言われた。現場は本当に悲惨。

・10年前の口蹄疫が発生した時、診断した女性の獣医さんが周囲からいわれのない非難(口蹄疫の病原を持ち込んだなど)を浴び自殺した、との話を聞いた(ソース不明)。その為、今回は最初に診断した獣医さんの情報が出ないよう注意を払っているようだ。

・東国原知事はまさに不眠不休でよくやっている。ただ体が心配。やつれ方が異常、骸骨みたいになっている。

JA職員 30代

・政府は全額補償と言っているが、評価額をどうするかが問題になっている。現状だとJAの評価基準を採用しそうだが評価額はかなり低い。再調達原価で評価するべき。でないと被害にあった畜産農家は借金も返しきれず、夜逃げするしかない。

・「あの宮崎牛が大打撃」とよく言われているが、もともとこの数年畜産関係は不調だった。牛の肥育農家は質のいい素牛がいない、子牛が安い、餌代が高いと「3重苦」の状態だった。ここにきていい素牛が育ってきてさぁこれから、という時に今回の口蹄疫、関係者のショックは思った以上に大きい。

・特に小規模の肥育農家は素牛1頭1頭に対する思い入れが強く、泣き崩れる場面を何度も見てきた。何とか力になりたいとは思うが、「口蹄疫の発生農家には近づくな」との指示がありどうにもならない。

・都市部のアンテナショップで宮崎県産の野菜を「口蹄疫が発生したところの堆肥を使って作ったんでしょ?」と言われ、小さな不買運動があった。風評被害も深刻。

(余談)

・豚の殺処分の現場スタッフに振る舞われた弁当がかつ丼だった。まぁそんなもんだよな、と苦笑いした。

地元地銀行員 30代

・移動制限により畜産農家は現状一切収入がないところが多い。しかも厩舎に留め置いていても餌代がかさみ更に経営が困窮している。

・畜産農家から売上回収出来ない為、飼料業者などの運転資金にも影響が出始めている。セリなどの市場も6月まで閉鎖が発表されているが確実に6月じゃ済まない。このままだと倒産ドミノが起きかねない。

・明日も約定返済出来ない業者と3人会わないといけない。正直払ってくれとも言えないのでどうしていいか分からない。

・支援融資もリリースするが、BSEの流行時期に対策資金を融資した先で回収不能になったところが多数あったとの例もあるため先行きは不透明。

・これから本当に地獄を見るのは口蹄疫が発生しなかった畜産農家。発生してしまえば全頭殺処分→保証金ありの流れだが、発生しなかったところについては保証の話は全くない。事態が収拾してもまともに値がつくことはあり得ないのでまず間違いなく倒れるところが出てくる。













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