●更新日 05/06●







生食用の牛肉、厚労省調査の驚くべき実態





焼肉チェーン「牛角」のtwitterでの発言が、物議を醸している。


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騒動の発端は、「銀屋」がtwitterで牛角に以下の質問をしたことだった。
「牛角さんのユッケは生食用ですか?(そもそも生食用の肉ってあるの?)どのような処理をしてますか?うちとこは表面をボイルして、酢水に漬けてから表面の色が変わった部分を包丁で削って中身だけを使ってます。参考までに聞かせてください。」

すると、牛角は
「生食用を使用しております。肉の表面を加熱してタタキ風でご提供しております。」
と回答。
これに対し、牛肉に生食用は存在しないのではないかという疑問が提起され、各所で話題になった。厚生労働省が定める衛生基準を満たして出荷されている生食用の牛肉は存在しないと、マスコミ各社で報じられた。それを見た人々が、牛角の主張はおかしいのではないかと問題視している。

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2011年5月5日、厚生労働省の食品安全部に取材を申し込み、その実態を尋ねた。
牛角の発言について、担当者は次のように述べた。
「屠畜上の段階でですね、そういったものが出荷されていないというふうになるんですけれども、その後、適切に処理をして頂ければですね、生食用として出すということは可能ですので」
つまり、処理を行えば生食用として出せる牛肉のことを、牛角は「生食用」と表現していたというのが真相のようだ。

衛生基準の詳細を尋ねたところ、別の担当者が取材に応じた。
厚生労働省のHPには、衛生基準の具体的な内容が掲載されている。これらを基準として、食肉処理施設が生食用の出荷に適しているかどうか、判定される。

ところが、これまでの調査では、それぞれの食肉処理施設に報告を求め、提出された結果を分析していたそうだ。厚生労働省が食肉処理の現場を実際に訪れ、衛生基準に適合しているかどうかを確認することはしていなかったというのだ。

厚生労働省は、業者の自己申告を
「調査結果」としていたのである。


自己申告ではなく、業者の実情をどの程度把握しているかという質問に対し、担当者は以下のように回答した。
「それはちょっと、これから緊急的な監視だとか、実態を調べた上でないと、あまりそういう(厚生労働省が食肉処理の現場に立ち入るという)調べ方をしていないんで、分からないですよね」

それでも基準を満たしたものがなかったということは、業者からの報告も、それほど実態からかけ離れていたわけではないのかもしれない。しかし、問題が発生してからでは手遅れだ。「えびす」の食中毒事件が起きた今、消費者は肉の安全性をより強く求めている。

なお、5日に牛角は、ユッケの販売中止を発表した。衛生管理は徹底してきたが、客の不安を考慮して、販売中止に至ったという。発表内容を読む限り、同社での加工方法は、twitterに書かれていた通りである。


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消費者には、店で提供される肉の安全性を
その場で確かめる方法がほとんどない。


これまで以上に厳格な安全性の確保を、提供側に望みたい。



高橋




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