●更新日 01/04●


朝日への投書「一日独裁者になりたい」に非難集中


朝日新聞の投書欄「声」が募集したテーマ「私の夢」。このテーマ特集に掲載された一通の投書が、ネット上で大きな話題になった。

2008年1月1日の「声」欄に、「苦しむ人救う「一日独裁者」」と題する投書が掲載された。宮城県在住の52歳の主婦によるものだ。投書の内容を見てみると、冒頭から過激な言葉で始まる。「「独裁者になりたいよ〜」。テレビでニュースを見ていると、つい叫んでしまう」。そんな彼女が「一日独裁者」になったことを仮定して、話が展開する。



彼女が独裁者になったら、次のようなことを命じるという。原爆症の人々にも薬害肝炎の件と同様の措置を取らせる、国策の犠牲者である中国残留孤児を裁判なしで救済する、生活苦で保護を求める人々に給付する、何年もかかると言われている年金記録の照合にフリーターを雇用する、拉致問題で彼女自ら「独裁者会談」を行なって全員連れ帰る。

注目したいのが、この拉致問題関連の部分。よく読むと、どこの国の「独裁者」と会談を行なうのかということは書かれていない。北朝鮮を指していることは明らかだが、この主婦がそのように書くことをためらったのだろうか。あるいは、投書は掲載前に新聞社側が修正を行なう場合もあるので、この部分が修正された可能性もあるかもしれない。

拉致被害者を全員連れ帰るには、日本の強制連行の賠償が先だというのであれば、「じゃ、お金をたくさん用意して」という。「国庫にゆとりがありません」と言われたら、「友人のビル・ゲイツとイチロー、松坂、トヨタ自動車の渡辺社長に連絡してください。みなさん困っている人の役に立ちたくてうずうずしています」と言うのだそうだ。彼女の脳内設定では、世界の著名人たちまで誰もが彼女の方針に賛成らしい。

以上のような内容の投書に対して、ネット上ではバッシングの嵐となった。その理由はいくつかある。特に非難が集中したのは、「独裁」という手法で問題解決しようという発想だ。そもそも独裁者が出現するということ自体が、民主主義社会にとって脅威であり、この主婦の発想は危険だという。

また、彼女が「友人」と称する著名人たちの誰もが彼女に好意的であるというのは、独裁者に対して忠誠を誓わされているからではないか、との見方もある。独裁者が存在する国家では、当該の人物に対して批判的であれば自分の命さえ危ないので、賛成する(ふりをする)しかないというわけだ。

もう一つは、本人がどこまで本気なのかは定かでないとしても、例に挙げているような諸問題を軽く扱っているかのようで不謹慎だ、というもの。確かに、問題の当事者たちがこの投書を読んだらバカにされているように思うかもしれない。また、主張内容が、いくつかのことを前提にしなければ成り立たないのではないか、という批判もあった。例えば、中国残留孤児が国策の犠牲者であるということ、北朝鮮が賠償を要求している事柄は日本による「強制連行」であったこと等だ。



そもそも、このような投書を元日に掲載する朝日のセンスも凄まじい、との声もある。しかも同日に、CANONが「サンゴが教えてくれる。」と題したカラー広告を掲載したという偶然が重なり、朝日新聞の「サンゴ事件」を想起した人も多いようだ。サンゴに「KY」と刻印した「元祖・アサヒる」の捏造事件だが、朝日も正月から「空気が読めない」ということだろうか。






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