●更新日 02/10●


「下流ピンポンダッシュ少年」と揶揄された橋下知事


大阪の橋下徹府知事の言動が、ネット上だけでなく各メディアで取り上げられている。肯定的な意見もあるが、批判的な論調のものがかなり目立つようだ。

橋下知事とのやり取りが話題になっているのは、NHKの藤井彩子アナ。橋下知事は2008年2月8日のNHKの番組「かんさい特集 新知事・市長に問う 大阪の、これから」に出演の際、30分遅れでスタジオ入り。その際の藤井アナの発言が、注目を集めることとなった。探偵ファイルでは、関連する発言を放映内容から一字一句正確に文字に起こしてみた。

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「はい、ここでですね、お話の途中ですが、橋下府知事が到着しました。はい、橋下府知事、ちょっと遅刻ですけれども、およそ30分遅れで到着されました。どうぞよろしくお願い致します」。すると知事は、「遅刻といってもこちらの責任じゃないので。公務を優先していましたので」と反論し、「僕はこの時間に来れませんよってことを散々言ってたんですからね」とも強調した。

出演者からの一連の批判に対して橋下知事は、NHKのインサイダー取引問題を挙げて反撃した。すると藤井アナは知事がしゃべっている途中にもかかわらず、割り込んで無理やり話を中断させた。しかも、インサイダー取引の発覚がNHKにとって深刻な問題であったはずであるにもかかわらず、藤井アナはクスクス笑いながら次のように述べた。「はい、申し訳ありません、申し訳ありません。あの、不安はいろいろおありだと思いますけれども、次の話に行きたいと思います」。

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2月9日の産経新聞によると、橋下知事は「出ないと言っていたのに、(東京でのあいさつ回り中に)NHKの職員がついてきて『早く切り上げて出演しろ』と言ってきた。それで、公務後に30分遅れで出演したら、『遅刻です』とアナウンサーに言われて腹が立った」と報道陣に対して語ったという。また、「もう(NHKの)スタジオ出演はしない」とまで述べたそうだ。

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一方、橋下知事に対して非常に攻撃的な論調の記事が、2月8日の東京新聞に掲載された。記事名は「橋下新知事 岩国問題の発言で物議 「口撃術」の秘訣は」。知事に批判的な立場の人々の見解を紹介すると共に、知事の著作からの抜粋で、問題発言とされるものを羅列した。

記事で特に着目しているのは、橋下知事の発言は自著「最後に思わずYESといわせる最強の交渉術」で示唆している会話技術に依拠しているのではないか、ということだ。同書の冒頭にあるという「詭弁を弄してでも相手を説得」、「場合によっては”言い訳”や”うそ”もありだ」という記述を挙げ、橋下知事の岩国問題関連の発言は「論理のすり替え法」を使用したものだと批判。また、「言ったことに無理やり前提条件をつける」、「個人攻撃が始まったら、流れを遮断すること」といった記述も引用し、それが知事の一連の発言の背景にあるものではないかと考えているようだ。

記事の末尾では、思想家の矢部史郎氏が、橋下知事を「他人の家のチャイムにいたずらして逃げる「ピンポン・ダッシュ少年」」と形容したことを紹介し、同氏のコメントを掲載している。矢部氏は言う、「露悪的な意見で衆目を集める”下流文化”の作法を身につけているが、その内容を貫く意思はなく、すぐに逃げる。根は臆病で権威には弱いタイプでは。そういうタイプは堂々と国を相手にするような住民たちに嫉妬を抱くのだろう」

宮崎県の東国原知事と比べても、橋下知事の場合はより強い「逆風」を受けての出発となったようだ。知事に批判を述べたい人々で「行列のできる」状態は、しばらく続くかもしれない。



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