●更新日 02/23●


サッカー日中戦、事実に反する中国視点のマスコミ報道


2008年2月20日のサッカー日中戦での、中国の度重なる反則行為が、日中両国で依然として大きな話題になっている。そうした中で、日本のマスコミがこの試合に関して報じた内容の一部が、明らかに事実に反するとの指摘もなされている。

写真

当日の試合の放映では、実況を担当したアナウンサーが、中国の応援を異常なまでに肯定的に評価する発言を繰り返した。「今回のこの試合に向けては、中国の中でも友好的にお客様をおもてなししよう、そしてマナーよくこのサッカーを観戦しようというようなスローガンが掲げられています」という冒頭の言葉に始まり、試合中にも何度も同様の趣旨の発言をしている。詳細は、ニコニコ動画に該当箇所を抜粋した映像がある。 

上記動画でも確認できるが、後半42分あたりに、中国の応援で「シャーゴー」という言葉が繰り返されている。この声援が聞こえてくると、アナウンサーはそれまでのように中国の応援を賞賛する発言をしなくなり、「すごい歓声です」とだけ述べた。続いて、しばらく間を置いてから、「なお、今のスタンドのこの大歓声ですが、中国語で中国のウラジミール・ペトロビッチ監督に対して、「ダメだ」とダメ出ししている声だそうです。観客も勝利を求めているということでしょう」と解説。

この点について、ネット上では疑問の声が出ている。「シャーゴー」は「殺狗」と書き、文字通り「狗(日本人)を殺せ」という意味だという。この言葉が、応援の時に使われる「がんばれ」という意味の「ジャーヨー(加油)」に発音が似ていることから、アナウンサーが不正確な説明をしたのではないか、というのだ。また、この不正確な説明は故意なのではないか、との見方も。

その理由とされているのは、上述のような中国の応援に対する過剰な賞賛だけではない。注目されているのは、アナウンサーが「シャーゴー」という言葉の解説をするまでに、しばらく間があったことだ。つまり、アナウンサーに言葉の意味を翻訳して伝えている人物が存在するはずであり、その人物が意図的に誤訳している可能性もあるのではないかというのだ。

また、新聞社の記事に対する批判も出ている。2月20日、共同通信は「日中戦は平穏保つ マナー遵守徹底か」と題した記事を掲載した。試合の様子について、「中国人観客が終始、平穏を保った」、「中国人観客は、君が代演奏や日本チームの攻撃の際にもブーイングを浴びせたり、やじを飛ばしたりしなかった」とある。一方、同日の時事通信の配信記事には次のように記されている。

「中国のサポーターは試合終了直後、小型の日の丸を燃やすなどして悔しがった。蔑称(べっしょう)を用いた「小日本を打倒せよ」などの叫び声も上がり、ペットボトルなどがグラウンドに次々と投げ込まれた。国旗が燃やされたのは熱烈なサポーターが陣取る最前列。2階のスタンドでも何かを燃やしたらしい煙が上がり、警備要員が制止に走り回った。北京五輪を控えた中国は応援マナー向上に力を入れており、この日の試合中は比較的平穏だったが、敗戦後はブーイングがやまなかった。」

写真

共同通信は、これらの事実を知らずに記事を配信したのだろうか。そのように考えにくい理由は、「大きな混乱なく試合終了 敵地で日本、中国に1−0」という、22時47分配信の記事の後に、上記記事が22時58分に配信されているという点にある。記者が試合を実際に観戦し、結果を見届けた上で記事を書いたのであれば、「終始、平穏を保った」などとは言えないはずだ。

しかも、47分配信の記事の末尾には、「終盤は中国にラフなタックルが続き、観客からものが投げ込まれるなど騒然とする一幕もあったが、大きな混乱はなく試合は終了した」との記述もある。ところが、中国寄りの立場をとるいくつかの新聞社は、この記事を使用せずに、試合結果と58分配信の記事のみを掲載した。そのため、中国の応援の問題は読者に伝わらないままとなった。

サッカーは「代理戦争」などとも呼ばれ、様々な感情が反映されすやい傾向にあることは確かだ。だが、伝えられる情報そのものが歪められているというのでは困る。ネットが普及した現状では、世論誘導と疑われかねない不正確な情報は、即座に問題が発覚してしまうようだ。



探偵ファイル



◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事