●更新日 03/27●


登山家の野口健がチベット問題で中国政府を批判!


テレビでもおなじみの登山家・野口健氏が、チベット問題との関連で中国政府を批判する趣旨の発言をして、ネット上で話題になっている。

野口氏は2008年3月22日、自身のHP及びblogに、「チベット動乱〜北京五輪出場への条件〜」と題した文章を掲載した。「もし私がチベット人でその場にいたら間違いなく行動を共にしていただろう」、「永年に渡り中国に支配されチベットの文化が葬り去られようとしている時に命をなげうってでも中国による侵略を国際社会に訴え、そして救いを求めようとしている彼らの行為を一体誰が責められようか」といった記述で始まる文章からは、野口氏の熱い思いが伝わってくる。

写真 野口健公式ブログ

当初は「銃撃事件は承知していない」とコメントしていたはずの中国当局が、「デモ隊を解散させるためにやむを得ず威嚇射撃を行った」と武力鎮圧を徐々に認めていったことについて、「中国当局の発表は先の大戦末期の大本営発表のようなもの」と野口氏は述べる。そして、観光客の撮影物を押収し海外のメディアの取材を規制する当局の姿勢こそ、その隠蔽体質を物語っていると批判する。

チベットが都市化されていることについて、野口氏はかつて不思議に思ったことがあるという。そのことを帰国して外交官である父親に尋ねると、こんな答えが返ってきたそうだ。「チベット人にある程度の物と金を与えて独立運動を抑えようとしているだけだろう。便利な生活をおくったチベット人が元の生活に戻れないようしている」、「チベット人の精神構造を崩していこうということだよ。まあ〜戦後のアメリカが日本にしたような事だね」。

北京オリンピックについて、EUがボイコットを検討していることを野口氏は評価。これ以上の非人道的行為が繰り返されるとしたら、ボイコットという最終手段も考慮されてよいのではないかという。中国の体質が変わらないままオリンピックが開催される結果として、第二のダルフール紛争が起こり、チベット人への非人道的行為もエスカレートする危険性はないかと、野口氏は危惧する。「中国との摩擦を回避しようと、無条件のまま安易にオリンピックに出場すればそれこそ無責任である」という言葉は、日本政府の姿勢を暗に批判しているとも読めるかもしれない。

今回の更新は、野口氏にとって決死の覚悟だったに違いない。文章の末尾には、「中国にとってタブー中のタブーであるチベット問題について発言を繰り返せば二度とチベットに入れなくなるかもしれない」とある。「発言に躊躇もしたが、しかし、現場を知っている人間は逃げられない。確かに一登山家に出来る事は限られている。しかし、私にも何かが出来るはず。そうせめて声を上げ続けていきたい」との力強い言葉で、文章は締めくくられている。

写真

今回の発言については、Wikipediaにも早速掲載されている。登山家によるゴミ放置問題を野口氏が告発し自らも清掃活動を実践してきたことは有名だが、Wikipediaを読むと、これまでの多彩な活動と社会貢献に改めて驚かされる。

野口氏のHP及びblogでの発言は、ぜひ読者の皆さんに直接読んで頂きたいと願う。多くの自称「人権団体」がチベット問題については奇妙な沈黙を続けている現状で、現場を知る野口氏の記述から学ぶもの、考えさせられるものは多々あるのではないだろうか。



探偵ファイル



◇上記のタグを自分のサイトに張ってリンクしよう!


探偵ファイルのトップへ戻る

前の記事
今月のインデックス
次の記事