●更新日 08/28●


「ドラえもんは虐めを助長」発言の准教授に異論続出


本の漫画文化の悪影響を大学准教授が論じたところ、それに対する異論が続出している。

2008年8月26日、「マンガ 無自覚の刷り込み 子供の意識に大きな影響」という記事が産経ニュースに掲載された。京都精華大学マンガ学部准教授の吉村和真氏によると、現在では日常生活に漫画が浸透していて、無意識のうちにその影響を受けているという。その結果、子供たちは漫画の登場人物をモデルに他人を評価しているのではないかと、吉村氏は危惧する。
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その一例として、吉村氏は「ドラえもん」を挙げる。同氏曰く、「メガネをかけて少しドジな人は『のび太』というマンガのキャラクターをモデルに、子供は友達を評価している。メガネをかけているだけで、『お前はのび太だ』といじめられるのではと心配しています」とのこと。

この主張に対して、ネット上では異論が続出。「ドラえもん」は古い作品であり、もし漫画文化の影響が吉村氏の言う通りであれば、その影響は今に始まったものではないはずではないかというのだ。また、メガネをかけた有名キャラクターは多数存在している現状で、なぜ「のび太」なのか、統計的な根拠がなければ吉村氏の単なる憶測に過ぎないのではないか、そんな厳しい意見が次々に出ている。

また、「のび太」と呼ばれる子供が実際にいたとしても、それが必ずしも虐めにつながっているとは限らないとの指摘もある。つまり、「のび太」と呼ばれることと虐めを直結させること自体が、吉村氏の主張の前提になってしまっているのではないかということだ。更に、吉村氏がのび太を挙げたということこそが、漫画文化の現状を把握できていない同氏の認識の古さを物語っているのではないかという声も多い。

探偵ファイルでは、コミュニケーション論を研究する社会学者に電話取材した。同氏によると、今回のようなケースは社会学の学会や研究会で少なからず見られるそうだ。一例として、ある大学准教授が現代日本の若者のお笑い文化について発表したという。ところが、そこで挙げられたのは、タモリ、とんねるず、ビートたけしだった。若者に人気のあるはずの、若手世代のお笑い芸人についての言及は皆無だったという。

自身が実際にお笑いや漫画が好きというよりは、時事ネタで論文や書物を書きたいという動機に基づく研究者に、時代錯誤で的外れなものが多いとのこと。研究者としてこれでよいのか、大いに疑問である。



探偵ファイル



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