●更新日 01/15●


麻生首相の退陣要求デモを促す記事を東京新聞が配信?


麻生首相の退陣要求デモの実行を人々に促しているかのように読める記事を東京新聞が配信したとの情報が寄せられ、早速入手してみた。

2009年1月14日、「ネットは熱いが面倒は回避?」と題する記事が掲載された。見出しには「内閣不支持率70%超 世論沈黙なぜ」とあり、麻生首相の写真の横には「不支持が70%を超え“臨界点”に達した(?)ともいわれる麻生首相だが・・・」との一文がある。この記事は、東京新聞のweb版には掲載されていない。



リード文には、「通常なら解散、総選挙あるいは総辞職となるところだが、いまだ動きはない。それなら世論が沸騰かと街頭を見回すと、これまた奇妙な静けさ。一体、どうなっているのか」とある。記事中で政治評論家の森田実氏は、「不支持率の高まりは自らの存在理由のなさを示すため、歴代の首相たちは耐えられず辞めた。その意味では、麻生首相は異常なリーダーだ」と批判している。



そして、「とはいえ、これだけの不支持率を記録しながらも、街頭で退陣要求デモが起きるわけでもない。この静けさは何なのか」と、記事を執筆した記者は疑問を投げかける。その理由について森田氏は、「これも小泉型の構造改革で社会に対する希望を信じられなくなったからでは」と述べる。しかし、構造改革以前までは積極的な退陣要求デモが行なわれていたというわけでもなく、単一の原因に帰することは強引ではないだろうか。

続いて、「フランスでは最近も高校生らのデモが教育関連法案を止めた」として、明治大学教授の鹿島茂氏のコメントを掲載している。「日本はこの三十年で面倒を嫌い、利益と自己顕示だけは得たいという論理が定着した。だから面倒なデモや連帯は避け、匿名のインターネットだけがにぎやかになっている」と、鹿島氏は論じる。



だが、これはネット上のコミュニケーションの特定の一面のみを不当に強調しているのではないか。毎日新聞の「変態」記事問題や北京五輪でのチベット問題等で、デモを含むネット発の抗議運動が大規模に展開されたことを鹿島氏がどのように見るのか、興味深いところだ。また、学生運動当時の人間関係やコミュニケーションのあり方を理想化して、それとの比較で現代社会を裁いているかのようでもある。

この記事が、実際に退陣要求デモを促す意図があって書かれたのかどうかは定かではない。いずれにせよ、これがネット上に掲載されなかったことは残念だ。日頃は新聞を購読していない人々の目にも留まって論争が展開されることこそが、記事の執筆者が提起している問題について議論が深まる絶好の機会になるのではないかと思われる。




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