●更新日 01/20●


IPA流出騒動の職員、処分の実質は3ヶ月の有給休暇?


IPA(独立行政法人情報処理推進機構)職員による流出騒動に大きな動きがあったので、続報をお届けする。(関連記事 1 2 3 4 5 6 7)

2009年1月19日、IPAは当該の職員に対して停職3ヶ月の懲戒処分を下したと発表した。IPAのHPにも、同日に関連情報が掲載された。IPA関連のイベントでの写真や2007年の職員海外出張伺いの下書きの流出は確認したが、非公開情報は漏れなかったという。また、「かな漢字変換ソフトや児童ポルノ等わいせつ画像を検索し、その一部をダウンロードしたこと及び当該情報が流出していないことを確認しました」とのことである。



ATOK等のダウンロードについては以前の記事で触れたが、職員が不正利用に関与したと思われる過程は、メールでのやり取りにも見られる。2000年3月19日のメールでは、Beckyの「パスっていうのは、この前いただいたシリアルに入っているものをただそのまま流用すればよろしいんでしょうか」との問いに対し、「構わないと思います」と返信している。VisualC++のシリアルキーも、不正に流していたようだ。「VC++のプロダクトIDが・・・・・・」と題されたメールへの同年3月27日の返信を見れば、一目瞭然である。



IPAのHPに掲載の規定には、「停職3月以内の出勤停止とし、その期間中の給与は、情状により基本給、諸手当合計額の3分の1以内を減額する」とある。だが、処分としてはあまりにも甘すぎるとの声がネット上で続出している。停職になって給与が僅かに減るというだけであり、実質上は3ヶ月の有給休暇ではないかと、納得できない人々が多いようだ。



19日のINTERNET Watchによると、ファイル交換ソフトの使用に際して、「当該職員はデータをダウンロードするごとにキャッシュフォルダの中身を削除していたこともわかった。IPAの担当者は、「同職員は、WinnyやShareを使った場合、自動送信可能になることをわかっており、自らが発信者にならないよう最大限の努力をしたと見られる」と説明した」とのこと。これに対して、各種の疑問点が挙げられている。

例えば、職員が使用したとされるShareの性質を考えるならば、キャッシュフォルダの中身をすぐに消したからといって流出を止められるわけではないはずだとの指摘がある。ダウンロードしただけで使用した証拠はない、最大限の努力をしたといったことで済ませてよいのかと、疑問視されている。Winnyを通じて住宅地図ソフトをダウンロードした人物が、2008年に著作権法違反(公衆送信権侵害)とされた件と比較した議論も見られる。

IPAとしては、今回の発表で一段落との判断なのだろう。だが、ネット上の反応を見る限り、この件を問題視する人々との間にある認識のギャップは、埋めようのないほど大きい。




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