●更新日 11/24●


動物実験廃止運動を批判した杉本彩ブログにコピペ疑惑


杉本彩が2009年11月22日にブログで動物実験廃止運動を批判し、話題になっている。その内容を生命倫理の研究者に読んでもらい、話を聞いた。以下は、その概略である。

動物実験は道徳的に非難されてきた一方で、それによって人間は救われてきたというのが、杉本の主張だ。「人間が生きる為に奪われてきた動物達の命に感謝し反省すると同時に、動物の権利を尊重することが大切だと思います」、「もちろん私はお肉も魚も食べます。その命に感謝しながら…。動物実験の上に成り立ってきた医療も受けます」という。





「権利」という概念の適用範囲は拡張されていったのであり、やがて動物もその対象と見なされるようになったという歴史的経緯がある。動物自身は、権利を主張しない。「動物の権利」というものは、人間から動物に対して一方的に付与されるものだ。では、この権利の適用範囲や運用の基準は、どこまで厳密化できるのか。

杉本が守りたい「動物の権利」とは何なのか。たとえ感謝を忘れないとしても、結果として殺されてしまうのならば、その対象となった動物の権利は保障されないのではないか。命への感謝を忘れずに肉食や動物実験を許容すると杉本が主張する時、あえて「動物の権利」を掲げる必要はなかったのかもしれない。それを掲げたことで、かえって杉本は矛盾を抱えてしまった。

以上が研究者の見解なのだが、取材の半ばで杉本のブログについて、「どこかで見覚えのある文章がありますね」との指摘があった。それは、「もし、ボートが転覆して、人間の赤ん坊と犬のどちらか一方しか助けられないとしたらどうするか」という問いだ。動物愛護団体は「分からない」と答え、「動物の権利」の活動家は「私達が直面しているのは、そうした究極の事態ではない」と応じたと、杉本は紹介している。





調べてみたところ、この文章に酷似した記述が、Wikipediaの「動物の権利」の項目にあることが確認された。研究者曰く、「学生がレポートでWikipediaや専門家のHP等の文章をコピーしてくることがあるので、そういうのはチェックしています」とのこと。杉本は出典を記していないが、記述内容の詳細や論じられている事柄の順番まで、見事に一致している。





ちなみに、Wikipediaからの引用については、これまで様々な議論がなされてきた。注意点を記したページもあり、引用の前に一読しておくことをお勧めしたい。




探偵T



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