●更新日 12/27●


理念と実態が乖離?コムデギャルソンの経営戦略に疑問


人気ブランド「コムデギャルソン」のデザイナーである川久保玲氏の発言が、大きな反響を呼んだ。

2009年12月21日、朝日新聞は川久保氏へのインタビュー記事を掲載した。この記事が話題になった理由は、昨今のファッションの低価格路線に対して、川久保氏が「否」を唱えたからである。その内容をめぐって、ネット上では賛否両論となり、様々な意見が飛び交った。当該の発言を、以下に引用する。

「若い人たちが考えたり作ったりする楽しみや必要性を忘れていくのが心配なのです。たとえば、ジーンズ1本が何百円なんてありえない。どこかの工程で誰かが泣いているかもしれないのに、安い服を着ていていいのか。いい物には人の手も時間も努力も必要だからどうしても高くなる。いい物は高いという価値観も残って欲しいのです。」

川久保氏の見解について、アパレル関係者に話を聞いてみた。日本の大物デザイナーたちが不況に苦しむ中、コムデギャルソンは成功していると、同氏は評価する。「中年以降の世代しか興味を示さなくなっちゃったブランドと違って、ギャルソンの服は今の若者も惹きつける」という。



実際、青山にあるコムデギャルソンの店舗には、若い客が次々と来店している。そのように世代を越えて支持されるのは、経営戦略によるものが大きいのではないかと、同氏は分析する。「昔だったら新宿のマルイ、最近では渋谷のパルコというように、若者が集まる場所に出店して、若い世代を上手に取り込んでる」とのこと。

また、近年は雑誌や低価格路線のブランドとのコラボレーションを連発したり、ヴィトンのように若者が憧れる高級ブランドとも提携したり、他のブランドを扱うセレクトショップも開いたりと、多角的な戦略を展開している。しかし、「そういう戦略は生き残りには必要かもしれないけど、川久保さんの言ってることと本当に一致してるのか疑問ですね」と同氏は指摘する。





また、「いい物は高いっていう価値観が失われてるとは一概に言えないと思う。不況だから、買いたくても買えない人が多い。もし景気が回復すれば、高級ブランドを買いあさる人たちは、ある程度出てくるはずですよ」という。「新しいことっていう理由で何でもありになっちゃうのがギャルソンの上手いところというか、悪く言えば、要領の良さ、二枚舌ってことになるのかな」と述べる。

とはいえ、次は一体どんな仕掛けを用意しているのか、人々の注目度は高い。




探偵T



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