●更新日 02/14●


立松和平氏に意外な側面?これまで語られなかった秘話


作家の立松和平氏が、2010年2月8日に都内の病院で死去したと報じられた。作家として多くの作品を執筆する傍ら、環境問題について積極的に発言し、行動した立松氏。世界中を旅して自然破壊の実態を報告し、自らも環境保護の組織を立ち上げるなど、多彩な活躍を見せた。

立松氏を作品のファンではない人々にも一躍有名にしたのは、テレビ朝日「ニュースステーション」だろう。豊かな自然が残る各地を訪問し、現場からその様子をレポートした。独特で温かみのある語りが人々を魅了し、NHKをはじめ他局の番組にも数多く出演した。



大半の人々にとって、立松氏に対する印象は、このような番組や作品から受けるものだろう。しかし、実際に交流のあった人々は、メディアを通じて流布しているイメージとは異なる様々な側面にも、魅力を感じていたようだ。このたび出版関係者から、立松氏に関するいくつかの秘話を聞くことができたので、紹介する。

「テレビに出ながら、それとは常にどこか距離をとってるって感じでしたね」という。著書の出版記念パーティーで、「ピップエレキバンのCMに出てるのは立松さんなの?」と出席者が質問したことがあったそうだ。それに対して立松氏は、「どうだろうねぇ」と笑みを浮かべて一言答えるだけで、真相は謎のままとなった。

「質問したのは親しい人だったけど、言わなかった。ニュースステーションの裏話を聞かれても、そんなに語ろうとはしなかったようです」とのこと。仕事の内情を公にすることは好ましくないという、自分に課した美学のようなものがあったのかもしれない。



一方で、とても律義で、誰から声をかけられても、サインや記念撮影に気さくに応じたそうだ。「どんなに多忙でも、環境問題のイベントには嫌な顔一つしないで参加してました。熱心な自然保護団体の人たちには、主催者が謝礼を払おうとしても頑なに拒んだことが何度もあるんです。立松さんクラスの作家なら、講演料も普通は膨大な額ですよ」という。

一途な生き方を全うした立松氏だが、モータースポーツにも関心を持ち、パリ・ダカール・ラリー等に出場という意外な経歴もある。「環境の活動は車で自然破壊してる罪滅ぼし」などと、仲間たちに冗談半分に語ったこともあるそうだが、照れ隠しのようなものだったのかもしれない。そんなお茶目な側面も含めて、人々に愛されていたのである。



享年62歳、立松氏のご冥福をお祈りする。




探偵T



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