●更新日 02/20●


競争に負けて潰れていく大手デパート、その理由とは


大手のデパートが閉店を余儀なくされるというニュースが、このところ続いている。

その一つが、西武百貨店の有楽町店である。同店は、1984年に有楽町マリオンの一部としてオープン。2010年末をもって閉店と発表されると、新聞やテレビで一斉に報じられた。それらの報道では、閉店に至った理由について様々な分析がなされた。その代表的なものを、いくつか挙げてみよう。

不況の影響で業界全体の売り上げが低迷している、各地に品ぞろえのよい店が増えたことで有楽町や銀座のデパートに買い物に来る人々が減った、プランタンや丸井といった近隣の競合する店舗に客を奪われた、銀座方面にユニクロ等の低価格路線の店舗が増えてきたことで客足が遠のいた。

有楽町西武

これらの分析を、当事者はどのように捉えるのだろうか。このたび、有楽町店に勤務していた人物に話を聞くことができた。まず、不況の影響や、この地域のデパートへの買い物客の減少については、確かにそのような傾向にあると感じていたという。だが、それは西武有楽町店以外にも当てはまることだ。

近隣の店舗との競合については、「むしろ競争に乗り遅れたと思います」という。近辺のオフィス街に勤務する若い女性たちの需要に応えるという点では、西武と同じ年にできたプランタンが大きく上回っていたとのこと。丸井やユニクロに関しても同様で、女性たちが西武に買いに来る必然性がますます失われたのではないかという。

これらの理由に加えて、同氏が勤務した経験から実感しているのは、店舗の狭さが致命的だったのではないかということだ。店自体が狭いために、置くことのできる品数が少なくなる。それゆえ、自身が担当する売り場でも、客の求めるものが店頭になく、池袋などの他店舗を紹介しなければならないことが何度もあったそうだ。

この点については、「なんで阪急と一緒に狭い店舗を並べて造ったんだろう」という疑問の声が、同僚からも出ていたとのこと。同氏は言う、「店が狭かったら、普通に営業してたら勝てるわけがない。お客様のニーズに見合った商品に特化しなくちゃ生き残れない。その努力を怠ってきた結果が、これだと思います」。

有楽町の阪急と西武

西武の場合、池袋の本店が他店舗と比べて売り上げが非常によい。そのため、他店は足を引っ張るお荷物のように以前から見なされてきたらしい。本店では一層の充実化を図るためのリニューアルの最中で、この「格差」はさらに広がるのかもしれない。



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