●更新日 05/29●


中日新聞の読者投稿は「釣り」だった!なぜ騙された?


先週の記事で扱った、中日新聞への読者投稿の「釣り」疑惑について、続報を配信する。

2010年5月16日に掲載された投稿「女性が社会リードの時代に」の投稿者の氏名が、ネット上に氾濫している架空の投書に使用されているHNと同じであった。そのため、この投書の本来の意図に気付かずに、新聞社が騙されて掲載してしまったのではないかとの疑惑が浮上した。

この点について、当サイトが同紙の読者投稿欄の担当者に確認を取ったところ、「名古屋市東区に住んでいる女性ですよ」、「ちゃんと電話で確認しましたから、これは本名で実在の人物です」という自信満々の回答だった。過去に朝日新聞が騙された「赤井邦道」の事例や経緯も説明したのだが、全く関心がない様子だった。ところが、やはり当該の投書は釣りだったようだ。ちなみに、投稿者の氏名は「那智文江」である。

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後日、「おわび」と題して、以下の文章が紙面に掲載された。「16日付「女性が社会リードの時代に」は悪質ないたずらと判明したため、おわびして全文を削除します」。全文を削除というのは、この投書は記録に残さず、縮刷版を発行する際にも掲載しないという意味だろう。担当者は、なぜ騙されてしまったのだろうか。当サイトに情報を提供してくれている新聞記者によると、いくつか理由が考えられるという。

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第一に、電話で確認するといっても、投稿者は自宅の電話番号を書いてくるとは限らない。しかし、現在では携帯電話しか持っていない人や、昼間には自宅に不在という人も多いので、自宅の電話番号を記入するようには強制できない。そのため、新聞社が投稿者に電話をかけて確認しても、掲載後に携帯電話の契約を解除され、音信不通になってしまうことがあるという。

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第二に、読者投稿欄の担当者は、概してベテランの記者が担当するという点が挙げられる。あらゆるジャンルの投稿があるので、掲載内容の質を維持するためには、幅広い知識を持つ人物が担当する必要がある。しかし、概して年配の記者の場合、インターネットには精通していないという。たとえネットは利用していても、各所に氾濫している「釣り」をはじめ、ネットに特有の現象を十分に把握していないことが多いようだ。

また、インパクトの強い投書の場合、独自の見解であるだけ一層、それが釣りかどうか判別も難しくなる。極端な内容は読者の目を引くが、掲載のリスクも高くなることは言うまでもない。

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