●更新日 10/13●


ついに殺人事件も…岐路に立つ「法科大学院」の現状



先日、弁護士志望の32歳の法科大学院生が父親の首を絞めて殺すという事件が起こった。容疑者は「進路について理解してもらえなかった」と供述しているという。

法科大学院(ロースクール)といえば、先月は元フジテレビアナウンサー菊間千乃さんが新司法試験に合格したということで話題になった。
参考:転落事故や不祥事乗り越え 菊間アナ司法試験合格!

さて、2004年4月に創設されたこの法科大学院の制度。現状はどうなっているのか、都内で法律系の資格取得や法科大学院の入試対策の講座を行っているスクールの方に話を伺った。
ついに殺人事件も…岐路に立つ「法科大学院」の現状
法科大学院の入試対策を行っているスクールのパンフレット

それによれば、いわゆる『旧司法試験』と呼ばれる法科大学院を卒業していない人のための試験は今年で終了、来年以降は法科大学院を卒業せずに法曹になろうとするなら『予備試験』というものを受験する必要があるという。その予備試験に合格すれば、法科大学院を卒業したと同等の権利が得られる――つまり『新司法試験』を5年以内に3回受験することが可能となるそうだ。とはいえ、その予備試験はかなり狭き門になるだろう(合格率や人数は未だ決定してない)とのこと。

「鳴り物入りで始まった法科大学院の制度だが、現状は厳しい」
という。法科大学院に入学するには『適性試験』という試験を受ける必要があるが、こちらの受験者は毎年減少しているそうだ。
ついに殺人事件も…岐路に立つ「法科大学院」の現状
総務省発表のグラフ 大学入試センターの行った適性試験の受験者数は今年は1万人割れ


「我々のような"予備校憎し"で始まった感もなきにしもあらずの制度だが、ロースクールで学んだことが実務で役に立っているとは言いがたいという評価がある」
「実際のところ、社会人はロースクールに通おうと考えたら勤めている会社を辞めねばならず、リスクが大きすぎる。菊間アナの通っていた学校のように夜間があるところもあるが、合格率を考えてもあまり現実的ではない」
「今回の痛ましい事件も、ある意味"法科大学院制度のひずみ"によるものではないか。旧司法試験制度であれば仕事を続けながら試験を受けることも普通だった」
とのこと。そして
「結局、この制度で得したのは、ロースクールの教授の職を得た人間と、レベルの低い結果でも法曹になれた試験の合格者だけなのでは?」
とまとめてくれた。

確かに、「導入して正解だった」という評価を聞いたことがない法科大学院制度。今後どうなっていくのだろうか。



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