わずかな時間をおいて、ちがう刑事が男に尋ねる。
「今日、君はどこにいっていたのかなぁ?」
「えーと、秋葉原」
「そう。今、家の中には誰がいるの?・・ふんふん、ご両親と妹さんね。すまないが、
ちょっと・・・・」
 男の肩に手をかけた瞬間、そばにいた二人の刑事が彼の両腕を素早く押さえた。
男はひと言も抵抗らしき言葉を発せず、されるがままになっている。
 刑事たちは男を車に押し込むと、静かにドアを閉め、尋問を開始した。
 しばらくして、応援の車両が続々と到着。鑑識も含め、その数は二十人ほどに膨れ上がる。
 捜査員に抱きかかえられるようにして、男の妹が出てくる。端正な顔つきだが、
やはり非人間的な眼つき。髪は異様なほど長く、ふくらはぎに届いている。
それに彼女の青白い顔がつくと、円山応挙が描いた幽霊画そのものだ。
 問題のトランクが開けられると、えび茶色の布団袋が現われた。ついさっき
殺されたばかりの死体がはいっている。トランク内はさほど汚れていない。
自分の部屋に血液を出し尽くしたのか。

ひもを解くと・・・・。