探偵が霊現象を調査する場合、心霊写真が一つの重要なテーマになる。
 私は各支社に指令を出し、心霊写真を集めさせたり、幽霊ブックに載っている霊写真を検証したり、幽霊スポットで実際に撮影させたり、徹底的な調査を開始した。


 全国の支局が動いた結果、検証ポイント五十九ヵ所、写真点数二千枚の成果を得た。私はまず、幽霊ブック十四冊に写っている写真の現場を割り出す作業からはいった。
 掲載されている現場の中には、さも本当にある地名のように書いていたり、廃墟と書きながら実際には人が住んでいたりと、デタラメなものが少なくない。
 また地名が正確でも、いざ現場検証をしてみると、目の錯覚としか思えないものもあった。このタイプに多いのが、光の反射によるものと、わざとピントを外したもの。
 たとえば、木々の間の岩がうまく人の顔に見える写真は光の反射が原因。囲炉裏の横に人型の焼け焦げが見える写真は、わざとピントを外したことが原因だ。
 二重写しなどはその最たるものといえる。
 一通りの調査を終えて、読者から送られてきた写真を、なんの検証もせずに本にしていることがよくわかった。
 しかし、これはどう見ても本物だ、という写真もあった。私たち調査員が現場で撮ったものの中に・・・。
 ここで二件の例をもとに、心霊写真の真相に迫ることにしよう。