ううう・・・・・私は意識を取り戻して階下に降りた。両足が大きく腫れ、頭が割れるように痛い。あれはただの幽霊ではない、と恐怖が全身に走った。
 気がつくと、目の前に依頼者の顔があった。
「だから言ったでしょう。調査をやめてくれって・・・・・・」
 彼はそう言うと、足元からスウッ・・・・・とかき消えた。
 息もできないほど驚いた私は、車に戻って依頼者のところへ電話した。
 すると、「なんですか?」。弱々しい声だが、たしかに彼の声である。
 そこで何と言っていいものやら・・・・・彼は現実に自分の部屋にいるのだ。
 彼女のマンションであなたに会ったと言うわけにはいかない。私は適当にごまかして電話を切った。
 頭は混乱するばかり。あれは、彼の生き霊だったのか・・・・・・。