Aさん(五十七歳)
十年程まえ、このガードの上を歩いていたおばあさんが列車にはねられて死んだ。
Bさん(五十二歳)
彼は、小学校四年生のころ、路線を横切って通学路にしていた。横切ることによって、半分の時間で学校に着くからだ。当時は、汽車の本数も少なく、通過時刻もわかっているので、それさえ避ければ危険はなかった。ところが、ある日、家に帰ると、
「きのうの晩、他所から老夫婦が自殺にやって来て、トンネル(ガードの横)で汽車にはねられて死んだそうな。おまえ、今朝もトンネル歩いたんじゃろ。何も見んかったね?」
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