●更新日 01/12●
鎌倉幕府終焉の地
かつて源頼朝が幕府を開いた鎌倉――、鎌倉市小町に腹切りやぐらがある。
1333年、第14代執権北条高時が新田義貞による鎌倉攻めで追い込まれ、一族郎党870余名がここで自害したと伝えられている。
時代背景もあり武士の幽霊が出る、やぐらをのぞき込むと首を切られる、腹痛が起きる等、様々な噂が飛び交い神奈川有数の心霊スポットとして有名である。
近くに住む男性に話を聞くと、
かなり昔に、親子の幽霊を見たことがある。
なんか時代劇に出てきそうな髪型で、ぼろぼろの服を着ていた。
腹切りやぐらに向かう途中、住宅地の中に東勝寺跡がある。
元々は北条氏の菩提寺だが、ここに北条高時が追い込まれ、火を放った後に自害したと伝えられている。
その後、再建されるも幾度となく壊され、現在は跡が残っているだけである。
腹切りやぐらの手前には立て札が立てられている。
”腹切りやぐら
霊処浄域につき
参拝以外の立ち入りを禁”
霊処浄域、立て札の先に進んだ時に意味が分かった。
確かに先程までと空気が違う、体全体に重くのしかかる雰囲気がある。
やぐらとは山の中腹を削り取った洞穴のようなもので、鎌倉で多く造られた墓のことである。
そのやぐらの中に卒塔婆や花などが供えてあるが、とてもじゃないが入る気にはなれなかった。
入ったらもう後戻りは出来ない、そんな予感がしていた。
意を決してやぐらの中に入ってみると、その瞬間に首に衝撃が襲う。
やぐらを覗き込むと首を切られる。
噂を思い出すが、天井部分に頭をぶつけただけである。
涙目になりながら中を見回す。
腹痛が起きる。
中腰なので腹より腰が痛い。
やぐらの手前で手を合わせ冥福を祈った後、その場を後にするが、後ろから足音が聞こえる。
振り向くと誰もいないので気のせいだと思ったが、進むと足音が聞こえる。
足音だけがついて来ている。
ふと足音が聞こえなくなったので振り返ると、立て札の横で白いもやが揺らいで消えていくのが見えた。
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