●更新日 06/07●

霊感少女麻生 〜作業員の霊〜


これは、行きつけのバーで母親から聞いた霊感の強い少女の話です。



夕食の準備をしていると5才になる一人娘の麻生(まい)がやって来て、
「おじさんがマイちゃんのお部屋でイタイ、イタイて言ってるよ」と言う。
「どうしたの?」と問い返すと、
「おじさんが怪我してるの」 と娘。
母親は「またか」と思った。
麻生は霊感が強く、これまで度たび霊を見たことを母に告げていたのだ。


仕事から帰った父親にそのことを話すと、彼は驚いた表情を浮かべて、その日彼が監督をしている建設現場で事故があり作業員が1名死んだことを話した。
夫はそれ以上は話したがらず、彼女もまた訊かなかった。


翌日も怯えた様子もなく娘は母親に言った。
「おじさんがイタイ、イタイて言ってるよ」
何日も同じことが続くのでさすがに母親も不気味に思いはじめた矢先に、


事件は起きた。


夕食を終え、帰りのおそい夫を待っているときだった。
彼女が鏡台の前に座っていると鏡の中を動く影のようなものが見えた。
よく見ると、それは、



作業ズボンを履いた男の下半身だった。



彼女は恐怖のあまり動けなくなったが、目だけは鏡に映った男の下半身を捕らえていた。
腰から上のない男の下半身は、廊下を玄関の方へ向かってゆっくり進むと玄関のドアをすり抜け消えていった。
しばらく彼女は呆然としていたが、我に帰るとすがるような気持ちで夫の携帯に電話を入れた。
慌てて帰宅した夫が「実は」と語ったところによると、事故で死んだ作業員は、




落ちて来た鉄骨で胴体が切断され死んだという。





その後神社でお払いをしたところ、霊は出なくなったそうです。



ぽん


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