●更新日 06/30●
首都高速の恐怖
数年前まで、走り屋をやっていたAから聞いた話だ。
その日、Aは高速を150キロで走行していた。
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すると、その横を200キロ近いスピードで追い抜く車があった。
よく見ると、助手席のドアから何か垂れ下がっている。
「なんだろう?」
と思っていると、数分後にまた違う車が追い抜いていく。
その車も同じように助手席側に何か垂れ下がっている。
その様子は、走りを楽しんでいるというよりも、何かから逃げているようだ。
数分後…
「お願い!待って!」
と女性のうめき声ともとれる声が聞こえた。
気のせいかと思ったAは、そのまま走った。
すると今度は「ズルズル」と音がする。
不審に思い車を止め見てみると、
助手席のドアに女性がしがみついている。
恐る恐る近づき、顔を見たAは驚いた!
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その女性の顔は完全に擦り減り、原型を留めていなかった。
Aは、あまりの怖さに車に乗り込み逃げたという。
数日後、Aは友達にこのことを話した。
すると、この場所であった事件を聞かされた。
約8年前、助手席に彼女のB子を乗せて高速を疾走するスポーツカーがあった。
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走行中、サスペンションの異常を感じたドライバーのC男は、車を路肩に止め修理を始めた。
B子は、C男の隣に座り、それを眺めていた。
突如暴走族が現れ、C男はリンチにあったという。
C男は朦朧とする意識の中、なんとか車に乗り、逃げることに成功した。
しかし、B子の姿は助手席にはない。
焦ったC男は、引き返そうと次のインターで降り、車を飛ばした。
だが、サスペンションに異常があるせいか、上手く走れない。
しかも「ズルズル」といった引きずるような異音がする。
これでは、自分が事故ってしまうと思い、車を止め見てみることにした。
ドアを開け、路上を見ると夥しい血が広がっている。
走ってきた道路にも血が…
不審に思い、助手席側に回ったC男の目に映ったのは
置き去りにされまいと窓枠にしがみついていたB子の変り果てた姿だった…
その女性は、彼氏の車を探す為に夜な夜なスポーツカーにしがみついているらしい。
それを知ったAは、その日を最後に走り屋を辞めたという。
チープ彦坂
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