●更新日 09/28●
猫
昨日の写真は「猫」ではないか、というメールが相次いだ。
猫。 よく、怪談や心霊現象で登場する動物である。 猫は死ぬときに人目を避けて死ぬ、と言われるが、実際には猫に「死」の自覚は無い。「痛み」を第三者の攻撃であると判断して隠れる行動が、そうとられているのだ。つまり皆が思っているほど人間的では無いと言える。しかし、私が19才の時、そうとは言い切れないような体験をした。 私は後輩の車(セリカ)に乗っていた。場所は岐阜県多治見市。 深夜、山中の見通しの悪いカーブ。 後輩が右から道路を横切ろうとした黒っぽい猫をはねてしまった。 『ごつん、ごりっ』 タイヤの下で二回、鈍い音がした。前輪と後輪で轢いた音だ。 ああ、間違いなく即死だろう、と思った。 後輩は慌てて車を止め、猫を見に行った。 数分後、車に戻ってきた後輩は顔を青ざめてこう言った。 『・・・猫が・・・いない』 私はそんな馬鹿なと思い、懐中電灯を持って見に行った。猫どころか、血痕すら無かった・・・。 その後、怪現象が立て続けに起こった。まず、30分もの間、 同じ道を何度も周回していた。 (断っておくが、読者を怖がらせようという気は毛頭ない。) 助手席にいた私は地図を何度も見たが、どうしても広い道路に出られなかった。 そして 道を尋ねようと明かりの灯っている民家に立ち寄った。 ところが、そこは 墓などを作っている石材屋だった。 私は見た。 一番背の高い墓石の上に 黒猫がうずくまっていた。 今でも、その光景は忘れない。それどころかその猫の毛並みすら覚えている。 薄暗い蛍光灯の下でその猫は身動き一つせず、黄色い目で、じっと私を見ていた。 渡邉文男 |
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