●更新日 10/15●

深夜の風呂場


それは私がまだ中学生の時の事です。

祖母の家の立替中、祖母達は一年だけ仮住まいに住んでいました。
当時祖母は叔父と二人暮らしだったので、
二人は2DKの、お世辞にもきれいとはいえない安アパートに住んでいました。
私はおばぁちゃんっ子だったので、よく泊にいっていたのですが、
ある時、お風呂に入ろうとしたら、電気がつかなかったんです。
使い慣れたお風呂だし、電気くらいつかなくてもどうにかなるだろう…
私はそのままお風呂に入る事にしました。



中は確かに暗かったですが、廊下の電気の明かりで、
物がどこにあるかが分かるくらいの明るさでした。


シャワーを浴びて、髪をあらいはじめる。
目にシャンプーが入らないように目をかたく閉じるながらシャンプーを泡立てると、
ふと違和感を感じました。


『あれ…?私、こんなに髪長かったっけ…?』


不思議に思って手を止めて、目を開けてみる。
するとそこには、




自分の髪の長さではありえない長い髪の毛が。


私はあわてて椅子から立ち上がりました。
しかし次の瞬間鏡越しに私の後ろに、




うつむいてこっちを見ている少女の姿が見えました。



私は驚いて声もだせず、その場にしゃがみこみました。
しばらくしてそっと目を開けると、そこには何もいませんでした。


それ以降そのお風呂に入る事なく、祖母達は引っ越して行きました。
私は未だに、お風呂で目をつぶる事ができません。
目を閉じると、後ろに誰かいるような気がして…



ちり


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