●更新日 10/30●


夢が意味するもの


出版社に勤務するOさんが奇妙な体験をしたのは、2004年夏に岩手県へ出張した時のことだった。

盛岡市のホテルに宿泊したOさんは仕事を終え、夜遅くに部屋に戻った。
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、椅子に座って飲んでいると誰かが自分を呼んでいる気がした。
気になって窓の外を見たが、Oさんの宿泊した部屋は10階。当然外には誰もいない。
気のせいだろうと思い椅子に戻ると、また同じような声が聞こえてきた。
普段は霊感など全くないOさんだったが、これには好奇心も手伝い声の正体を確かめてみようという気になった。
Oさんはホテルを出て、声が聞こえてきた方向へと向かった。


夜遅くということもあって人通りは少なく辺りは真っ暗だ。
途中で寒気がしたOさんがふと顔を上げると、前方には大きな川があった。
そこでは何もおきず、再び声が聞こえてくることはなかった。やはり気のせいだったのだろうか。

しかし、その夜Oさんは不思議な夢を見た。
夢に出てきたのはまさにホテルのベッドでOさん自身が眠っている場面だった。
Oさんが眠っていると、あの謎の声と共にベッドの下から「ドン、ドン」と誰かが叩くような音が何度も聞こえてくるのだ。夢の中のOさんも同じようにベッドを叩き返す。
そんな光景が延々と続いた。

その夢は何を意味していたのだろうか。そして昨夜に聞いた謎の声と何か関係があるだろうか。
不思議なことに東京に戻ってからもOさんは同じ夢を数回見ている。
決まって夢に出てくるのは、あの日見たものと同じ・・・・・・。


ドラマや小説の創作された物語では、怪奇現象を引き起こした原因が常に明らかになる。
だが、実際の体験談を聞くと因果関係が不明なままのものも多い。
不明だからこそ、体験した本人にとってはより一層不気味に感じられるのかもしれない。



高橋


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