●更新日 09/13●
ケネディ暗殺の真犯人(前編)
ジョン・F・ケネディは、強いアメリカの象徴的存在だ。彼の暗殺事件は、今もアメリカ人の心に重くのしかかっている。果たして、犯人は誰なのか。今までも様々な容疑者が挙げられてきた。
そのどの容疑者も、動機が明確で、暗殺事件の前後で怪しい行動を展開している。
アメリカの若き王を、殺したのは誰なのか。
勿論、アメリカの大統領を殺すのだ、単独犯行ではない。実行犯も、指示した黒幕もそれぞれ複数の人間が関与しているのは間違いない。
その犯行の構図を浮かび上がらせる為に、順番に容疑者を列挙していこう。
まずマフィアの存在は無視できない。ケネディの父が禁酒法時代に、マフィアと手を組んで巨万の富を築いたのは公然の事実である。それ故、ケネディが大統領に就任すると、マフィアはケネディ政権を絶賛した。ケネディ政権ではマフィアの取り締まりが緩和されると期待したのである。
だが、司法長官に就任した堅物の弟ロバート・ケネディは、容赦なくマフィアの壊滅政策を実施した。この事態に慌てたマフィアは、ケネディ兄弟と友人であった歌手・フランク・シナトラを通じて、取り締まりの緩和交渉をするが効果は出せなかった。それどころか、マフィアの本拠地であるシカゴの暗黒街も、壊滅的な取締りを受けたのである。つまり、マフィアは、仲間と思っていたケネディ家に、裏切られたのだ。
またCIAとも、ケネディ兄弟は対立した。キューバに誕生した社会主義政権の首長であるカストロ暗殺を、CIAはマフィアを使って実行しようとしたのだ。この戦略を知ったロバートが、「政府がマフィアと組むなんて論外だ」とCIAに激しく抗議したのである。
また兄のケネディ大統領も、ソ連との共存主義をとり、反共を売りにしていたCIAとは対立する事になった。この事件を機に、CIAはケネディ兄弟を疎ましく感じるようになり、いつか排除するチャンスを狙うようになった。
1962年になると、真面目な司法長官・ロバート・ケネディは、FBIとも対立してしまう。
FBIのフーバー長官が、マフィア撲滅運動に協力的でないことに対し、ロバートが猛抗議したところ、フーバーは、ケネディ大統領と、マフィアに関係のある女性との不倫を盾にとり、ケネディ兄弟を逆に脅迫したのだ。
このように、真面目で融通の利かない弟ロバート・ケネディと、実直だが女癖の悪い兄ジョン・F・ケネディの周りには潜在的な敵が徘徊するようになった。そして、いつの間にかケネディ包囲網なるものが構築されてしまう。その黒幕が、リンドン・ジョンソンだ。
副大統領だったリンドン・ジョンソンは、FBIや共産主義嫌いのCIA、更にはケネディに潰されそうなマフィアなど反ケネディの人脈をうまくまとめあげていく。このジョンソンの動きにFBI、CIA、マフィアは同調する。当時のケネディ兄弟の人気は絶対で、ジョンの後は、ロバートが大統領になると言われていた。この窮屈なケネディ政権の継続に、彼らは辟易していたのだ。
リンドン・ジョンソンの意向を受けたFBIやCIAは、具体的な暗殺依頼をマフィアに出す。マフィアの中には、暗殺専門のチーム(マーダーinc)もあり、政府の秘密機関とはカストロ暗殺計画で既に顔馴染みであった。マフィアの暗殺専門チームの頭目マイヤー・ランスキーは、そのプロデュースを配下のジャック・ルービーに任せる。軍隊の経験もあるマフィア構成員だったルービーだが、その射撃は決してうまいものではなかった。ルービーはオズワルドにこの仕事を依頼する。この時、CIAが開発していたMKウルトラというマインドコントロールによってオズワルドは催眠をかけられたという。またオズワルドだけでは、不確実であると考えたルービーは同じように、MKウルトラによってマインドコントロールしたヒットマン、ルイス・マンゲル・カスチロを用意する。実行犯チームが何人いたかは不明だが、5発以上の弾丸が打ち込まれ、ケネディは死亡してしまう。
なおカスチロが、フィリピン警察に逮捕された時、彼の心にマインドコントールのメッセージの形跡が確認されている。内容は、なんとシカゴで要人を暗殺しなさいというメッセージであった。
山口敏太郎
|