萬念寺のお菊人形



萬念寺にある人形の髪が伸びるとの情報あり。
四方を山々に囲まれた小さい集落である幸町。その一角に萬念寺はある。
夕張炭鉱のあった当時は、この町も栄えていたらしい事も聞いた。
さっそく菊人形の撮影を申し出ると、住職が応対に出て来てくれた。
神経質そうな外見とは裏腹に、思慮深く話をしてくれる方であった。
住職の住まいに隣接して萬念寺があり、本堂に入って右側に、問題のお菊人形が納められていた。


この人形は大正7年札幌市で開催された大正博覧会の会場で、兄の鈴木永吉が妹の菊子にお土産として買ってきたモノ。もともとはオカッパ頭の胸の鳴る人形だった。菊子は大変喜び、毎日人形と共に楽しく遊んでいたが、当時流行っていた病にかかり、不幸にして大正8年1月24日3歳にして死亡。
葬儀の際、大切にしていた人形を棺の中に入れて持たせてやるのを忘れてしまった。出棺後、お骨と一緒に仏壇にまつり、生前の菊子を思い出しながら朝に夕に回向しているうちに、いつからともなく髪が伸び出した。
その後、萬念寺に納め供養をお願いし、現在に至っている。
本来ならば撮影を禁じているとの事であったが、特別に許可をいただき撮影したのがこの写真である。