廃ホテル「セリーヌ」
・プロローグ
興味深い内容である。早速、大住と共に長野に向かおうとした私だったが、出発前に信じられない事態が発生した! 大住「家賃払ってなかったら大家が怒鳴り込んで来て、どうにかしろって言うんで今回はちょっと行けそうにありません」 出発前にである。信じられない事だが、これもいつもの事なので割愛する。そこで今回は再び心霊探偵元祖の山木氏に参加してもらう事にした。 山木「・・・また心霊ですか・・。」 この間のYUZWAの引率のせいか、だいぶ嫌そうな顔をしているが、これも仕事なのだ。 第一、一人だと私が怖くてしょうがない。 ブツブツとぼやく彼を、人手がいないと無理やり引っ張りだし、我が愛車「カローラ」にて私達は一路長野県S町へと向かった。 ・廃ホテルセリーヌ 現地に到着して私は唖然とした。既にホテルの周りは草木に覆われ、その場所が費えてから長い時間が経過している事がありありと感じられたからだ。その様相は正に朽ち果てたホテル…。 全体的に“嫌な気配”に満ちていた。何かあった事は確かであると私の中で確信を感じていた。まずはこの周りを探ってみる。 噂ではこの窓の隙間から、女が恨めしそうに見下ろしているそうだが…。特に何も写る事は無かった。 ▲草木に閉ざされた倉庫の入り口とゴミ捨て場と化した駐車場口。 心霊スポット恒例のイタズラ書きは各所に見られたが、それ以上何も得るものは無かった。内部に潜入する事とする。このホテルは1F部分は駐車スペース、2F部分が宿泊部屋となっている構造である。階段を上がり、2Fに向かう。 狭い従業員用の部屋の向こうに、各部屋の入り口がある。部屋の一つに入ってみると、酷く荒された状態となっていた。心無い珍走団の仕業であろうか?ガラスなどは全て叩き割られており、大変危険な状態である。 それに何故だろうか・・・空気が非常に淀んでいる気がしてならない。明らかに、空気が違うのだ。 これが、「怨念」の渦巻く瘴気というやつか・・・。 怨念渦巻く廃墟だからこそ、あのようなモノが残るのか。 我々は、今回の探索で心霊現象に出会うことはなかった。だが、探索中はずっと重い空気にまとわりつかれていたのである。 そして、妊婦が殺されたとい言われている一番奥の部屋は入っただけで嘔吐を催すほど、瘴気に満ち溢れていた。 殺された女の怨念は、今なお、この場に残っているというのか―― 殺された女性が居るのだとすれば、冥福を祈りたい。 山木サイドへ |