見沼沢用水


FC さいたま市宮本


《見沼沢用水の噂》

見沼自然公園と見沼代用水の間に小さい赤い欄干の橋が架かっている。橋の正面には「氷川女体神社」の本殿に続く石段が在る。この橋の周辺に奇妙なことが起きるとの噂がある。

《現場調査》

まず神社の調査から始める事にする。約40段ほどの石段を登ると赤色の高さ約6mほどの鳥居が見えその下をくぐると30mほど先に「本殿」らしき建物が鎮座する。

左側に社務所があったので、巫女に噂のことを聞いたが「そのような噂は聞いたことがありません」と即座に言われた。本殿右奥には小さな社が4つほどある。さらに右手に細い道がありそこを降りると通りに出る。右手に公衆便所があり、道路反対側の見沼代用水を背に綺麗な花や飾りをつけた地蔵があった。

 

 

 



周辺住民に話を聞くと「それね、ここよく事故があるんで」「死亡事故とかもあるよ」とのことだった。

事故があったという現場は、下り坂を下り左に少し曲がり橋を超えたところ。右に急に曲がるため、夜間は見通しが悪そうだ。

見沼代用水沿いに神社の石段の下まで戻る。見沼代用水は川幅約4メートルほど。コンクリートで整備され金網のフェンスで両脇とも囲われている。

再び聞き込みを開始、周辺住民いわく「噂?ないない、ぜんぜん知らないよ。それってホンと?」と逆に質問されてしまった。その後に「夜ねー、そこの用水沿いにアベックが車までよく何台か止まってるよ」「エンジン駆けっぱなしで音楽とか聞いててうるさいよー」だそうである。

日が暮れてから訪れると、たしかに車が5台ほど見沼代用水脇に停まっている。エンジンをかけたままだ。

あたりは真っ暗でエンジン音以外はとても静かだ。時折、話し声や見沼代用水から魚の跳ねる音が聞こえる。

地蔵の方へ向う。街灯があるものの周りは真っ暗。それほど多くないが、車が通るたびに地蔵がライトで照らされ無気味に光る。氷川女体神社の境内は静かで、虫の声や木のざわめきが聞こえる。調査員の1人は、1人じゃ来たくないです、と弱腰だったが、たしかに夜の神社は不気味である。

だが何も起こらず、時折、車から女性の笑い声や睦ごとの声が聞こえた。もしかして、怪奇現象とはこの声のことか? 何だか拍子抜けであった。