真の道(まことのみち)


FC 八王子

 東京都八王子市裏高尾の山中に「真の道」(まことのみち)という有名な心霊スポットがあります。 この「真の道」にまつわる噂や心霊体験談を集め、麓の住人や関係者への聞き込み調査と現地調査を実施した。

■場所
 八王子駅方面から国道20号線(甲州街道)を高尾山口駅方面へ向い、同駅の1kmほど手前に『西浅川』という交差点がある。その交差点を右折し都道516号線で山中に入る。道なりに行くと行き止まりになり、左前に階段が見える。ここが入り口である。

■噂話
1.ここに女性が訪れると、頭痛や肩が重くなり、その後しばらく痛みが消えない。
2.帰りの山中を車で下りる途中、後ろから子供が走ってくる音が聞こえるが、振り向くと直ぐに消える。
3.その昔、この地に防空壕があり、非難していた人々は餓死と伝染病で全滅してしまった。
4.真の道の階段から写真を撮ると、白い服を来た男女が写っている。

■麓の住人の話

「あそこは駆け込み寺みたいな所と聞いている」
「手前の(中央線の)トンネルのところには霊が出るという噂は聞いた事がある」
「あそこの脇に(中央高速の)小仏トンネルがあるでしょ、私が子供の頃はお化けが出るから近づくなといわれた」

などの話を聞く事が出来た。いずれも真の道の事を詳しく知る人はいなかったが、過去に真の道へ行ったことのある人から、どのようなところなのかを聞く事が出来た。 入り口には山中へ導かれるように長い階段が延びている。当然照明などは無く、真っ暗闇であり、数段昇っても先に何があるのか見えてこない。
 ある程度階段を上ると、階段脇右手の斜面に沿って物凄い数の水子地蔵があり、皆こちらを向いて整然と並べられている。おそらく3百体はあると思われ、全体的に赤茶色く、陶器製もしくは木製であろう。一体一体が階段を上ってくる者達を見えるように並んでいるといった配置で圧倒される。階段を上った先には、赤子を抱いた大きな母親の像がある。

 


■現地調査の実施
 話の通り、入り口には先が全く見えない階段があった。階段の左脇にはトロッコのレールが敷かれ、階段に沿って延びている。


 

 しばらく昇ると鳥居のようなものがあった。しかし頑丈な金網の扉が設置されており、南京錠が掛けられている。現在はここから先へ進む事が出来ないようになっていた。フェンスの先にも階段が続いているが、左にカーブしている為、その先を確認する事は出来ない。鳥居には宗教団体の施設と思われる表示があり、怖いもの見たさでやってくる見物人の進入防止の為か、監視カメラまで設置してある。


 階段の途中でありながら、かなりの雰囲気がある為、有名になった当時はよほど迷惑していたのであろう。水子霊園を移設した旨の表示があり、連絡先が記されていた為、早速問い合わせてみる事とした。



■問い合わせ結果からの判明事項
 「真の道」と呼ばれていた場所は、道の名でも場所の名でもなく、1972年(昭和47年)に宗教法人真の道が建立した 奥宮、"直毘の宮"(なおひのみや)という施設がある場所であった。噂が広がっていく中で、宗教団体名がいつのまにか心霊スポットの呼び名になってしまったものであることが判った。階段の上り口にある石碑に「真の道」と書かれていることから、これを見て暗闇の中、長い階段を上り、水子地蔵や母親の像を見て、その気になった者がつけた呼び名であった事が判明した。
 次に噂話の調査だが、女性に頭痛などの災いが起きる事に関して、女性調査員を現場に同行させ、同様の現象が起こるのか調査した。
 結果、肩が痛くなったというのである。これは、恐怖のあまり、長時間にわたり体全体に力が入っていた事によるものと判明。肩がこると首の血行が悪くなり、頭痛が併発される為、噂話の頭痛・肩が重くなる件については、霊の仕業ではなくても起きる事が判った。 帰りの車に聞こえる子供の足音については2往復したものの確認できなかった。 かつて、防空壕があった事に関しては、関係者らに確認したところ、事実が判る資料が既に無く記憶のある人物もいなかった為確認出来ず。 写真に白い着物を着た男女が写る事に関してだが、真の道では、滝行というものがあり、白装束に白い鉢巻という姿で滝に打たれる行法で、夜間にも行われる為、それを見た人が勘違いしたのではというのである。たまたま滝へ向う信者が写真に写ったのではないかと考えられる。 しかし、水子霊園のあったこの場所は、遊園地のお化け屋敷を遥かに越える雰囲気がある事は確かで、この世に生を受けることなく亡くなっていった水子の霊が見える者がいても決して不思議な事ではないのである。