堀河ダム



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関西空港と和歌山とをつなぐ幹線道路 泉佐野岩出線。大阪府と和歌山県と の境目の峠が風吹峠。その途中、泉南市童子、ラブホテル「セリーヌの白い家」看板 の角を山のほうに約2キロほど上ると景色が開けて、ダムが姿をあらわす。



堀河ダム(ほりこうダム) 昭和47年竣工

堀河ダムは、入水自殺や飛び降り自殺、または死亡事故が多いことで、地元に住むものに良く知られているダムである。
その知名度の高さゆえ好奇心旺盛な若者たちの間で心霊スポットとして騒がれており、夏の季節には深夜に肝試しにくる男女のグループなどによく出会う。
それ以外は、周辺住民の数も少なく、訪れる人も少ない、閑静な土地である。

肝試しで人気の心霊スポットにありがちな「幽霊目撃情報」を得る為、周辺住民に 聞き取り調査を行ったところ、堀河ダムそのものが、事故、自殺を含めてよく人が死ぬ 場所であるから、幽霊の噂などは日常茶飯事であり、幽霊目撃情報も数ヶ月ほどた つとまた新たに別な霊が目撃される為、人々の記憶には残らないことが多いらしいこと が解った。そんな雑多な噂の中でもっとも人々の心に残っている噂を調査する。


いまから10年ほど昔の話であるが、一人の女性がダムから身を投げたそうな。
ここまでは良くある話であるが、その直後から、夜間、ダムの直立する壁をよじ登ろう とする裸の赤ん坊を見たという目撃証言が相次いだ。
というのも少し前にこの場所から身を投げた女性は、実は妊娠していたというのである。
その話を聞いた調査チームは、堀河ダム本体の調査を行うことにした。

手始めにダムの斜面の柵を乗り越えて、細いハシゴから絶壁を降りていく。
このダム壁に赤ん坊の霊がはりついていたという。


何の安全対策も為されていない危険な場所である。足を滑らせて落ちでもしたら 本当に死んでしまう高さである。手すりも防護柵もない段々畑のような踊り場の階段が あり、中腹あたりにさしかかると、横の壁にダムの内部への入り口がある。残念ながら現在 はシリンダー錠が2個施されており、内部を調査することはできない。

その場所から見ると、ダム斜面の傾斜は45度よりもきつめにつけられており、コンクリートの壁には安定して指がかかる場所などない。
目撃者により、目撃された赤ん坊の位置に若干の違いはあるが、おおよそ、どの場所でも人間の手の届く場所ではなく、大人でもいける場所ではない。


このような人工の断崖を、赤ん坊の霊が、母とはぐれて何を思い、よじ登ろうなどと 考えたのかは解らないが、暗く冷たい谷底の小川からよじ登ってきたのだとすれば、たいした 怨念である。しかし、しばらくしてその赤ん坊の霊が目撃されなくなったということなので、 この断崖を登り切ったのであろう。


路傍にたたずむ慰霊の地蔵の数が、このダムに眠る無縁仏がいかほどのものかを物語っ ている。調査は昼間に行ったが、夜に調査を行えばまた違った結果が得られたのかもしれない。