瞳孔が開いた目で私を見つけると、口をパクパクさせながら近づいてくる。何かを
訴えているようにも見えたが、それに応える余裕はない。恐怖が勝り、体が椅子から
転げ落ちた。
 そのとき、『ガラッ!』と、引き戸が勢いよく開いた。心臓が飛び出しそうになった私は、
思わず「ギャーッ」と悲鳴を上げてしまった。