伝統のお祭り「博多祇園山笠」の裏事情

〜島耕作も悲しんでいる(かも?)〜



みなさんは博多の「祗園山笠」をご存知でしょうか?
そう、博多の夏は「山笠」とともにやってくる、というほど全国的にも有名なお祭りです。
世界がワールドカップなら、博多はこの「山笠」、というくらい熱狂的なファンは多し!

どんなお祭りか、簡単に説明すると、舁き山というものを神輿のように担ぎ、半ケツの男たちが市内を駆け巡る、というもの。

このお祭りは元々、鎌倉時代が起源とされています。夏になると流行る疫病のお払いの意味があったことから、現在でも「暑い夏を元気に乗り越えられますように」の願いを込めて執り行われるのです。その準備は正月から始まり、約半年がかりの壮大なイベント、と云っていいでしょう。

このお祭りをなくして、博多ッ子は夏に入れない。

という訳で、今年も「博多祗園山笠」の季節を迎えました。



写真1 写真2
どうです、この盛況ぶり! 「オィサッ! オィサッ!」




写真3 写真4
7月15日(月曜)のクライマックス『追い山』では、90万人を越える見物客を動員。
4時59分の太鼓の合図と共に、一番山が勢いよく走り出し、
5分間隔で二番山以降がその後に続く・・・





写真5 写真6
博多の至るところでは、観光客や地元住民見物客で、人がごったがえしていた



800年にも渡る伝統、という輝かしいお祭りであるため、古めかしいしきたりやタブーが今もなお、存在しています。
現代人には「そんなバカな」と思うようなことでも、祭り中は当然のように「アリ」。
たとえば、期間中はキュウリを食べません。その切り口が祭神である櫛田神社の御紋に似ているという理由からです。
さらに、元々は疫病のお払い、という意味合いがある祭りなので、ケンカもご法度。お酒が入り、ヘタをすると大ケガをしかねないかなり激しい運動のため、ケンカは起こりやすい。が、「山笠」は平和のシンボル。一応そういうことになっているようです。


祭りの掛け声として男たちの叫びとも、ヤケクソとも取れる「オィサッ! オィサッ!」。
これ、何と、環境庁が選定した「後世に残したい日本の音百選」に選ばれているんだそうです。博多もんの自慢の一つ。
川のせせらぎや、お寺の鐘の音が選ばれている中、「オィサッ! オィサッ!」が選ばれている・・・。後世に残したい百の音全てを聞いてみたいものです。

しかし、この「オィサッ! オィサッ!」とやっている5000人以上の男たち、実は地元の博多の住人以外の応援部隊がほとんど(約7割)だそうなんです。はるばる遠くからやってきて参加するほど、ステータスの高い祭りだ、と受け止めることもできますが、地元の人間にこの祭りを支える人間が少ない、というのが実情のようです。
そういえば、部長時代の「島耕作」が福岡に飛ばされた時も参加していました。
彼もたまたま転勤で来ていなければ、祭りに参加することもなかったでしょう。

山笠人形をつくる人形師や、舁き山を組み立てる山大工も、後継者難に悩まされています。
博多人形師は九十人ほどいるのに比べ、飾り山づくりとなると十人前後に絞られています。

年々、華やかさを増す山笠も、その土台はやせ細っている、ということか。
ちょっぴり悲しいお話です・・・。



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