「マイナンバーを登録したのに手続きに使用できない!」と苦情、実態を取材


「マイナンバーを登録すれば、次年度からは申請手続きが簡単になる」と説明を受けて昨年に登録したにもかかわらず、未だ手続きに使用できない。このような情報が、兵庫県に在住の読者から寄せられた。その背景を調べてみると、意外な実態が判明した。

情報提供者は、兵庫県の県営住宅に住んでいる。県営住宅の各世帯の家賃は、毎年の世帯年収で決まる。それゆえ、収入申告書に必要事項を記入して、在住地域の市が発行する課税証明書を添付して提出しなければならない。マイナンバーを登録すれば、県と市の情報連携が可能になり、課税証明書の添付が不要になるというので、登録することにした。

 

 

ところが、実際には手続きの簡易化は実現していなかったのだ。今年も収入申告が必要であるという通知が送られてきて、そのことを知った。同封されていた文書には、次のように書かれていた。「なお、兵庫県営住宅におけるマイナンバーを介した情報連携について、現時点で、県が必要としている情報が国から開示されていないことから、今年度の収入申告においても、従来通り書面による課税申告書の提出が必要となります」。

 

 

 

兵庫県が6月22日付で発行した「収入申告の手引き」にも、同様の説明がある。だが、「課税証明書の提出を省略できる時期については、あらためてお知らせしますので、ご注意ください」と書かれている。なぜ情報連携が実現できていないのか、連携が可能になる時期がいつなのかといったことは、明言されていない。このように不明瞭な点が多いことに納得しがたいと、情報提供者は言う。

 

 

 

そこで、兵庫県に現状を聞いた。担当者によると、必要な情報を開示してほしいと内閣府に要請中であるそうだ。これは兵庫県に限った問題なのかと尋ねたところ、状況は県ごとに異なるという。例えば、入居審査の際に使う、収入申告関連だけに使う、承継に使うなど、マイナンバーを介した情報の利用目的は各県で異なるからだ。

では、なぜ必要な情報が兵庫県には開示されないのか。それは県が採用しているシステムの問題であると、担当者は説明した。当該システムの現状では実現しがたいとすれば、システムの変更が必要になる可能性もあるのか。この質問に対しては、「システムを全面的に変えなければならない可能性もある。そうなった場合、かなりのコストがかかる」とのことだった。

とはいえ、まずは現状のシステムでの情報開示を希望するというのが、県の方針のようだ。また、内閣府との間での情報開示の見直しが行われる機会は年に1回のみであり、今年度は実現に至らなかったそうだ。ただし、先述のように先行きが不透明な状況であるゆえ、連携が可能になる時期は未定であり、現時点では約束しがたいという。

続いて、内閣府に連絡を取った。兵庫県の現状のシステムでは情報開示が難しいとされる理由や開示が可能になる条件、他県のシステムとの違いなどについて尋ねた。しかし、応対した担当者曰く、それらの点に関する個別の具体的な情報はシステムの管理を担っている部署のみが有しているものであり、回答できないという。

情報提供者は言う、「何のためのマイナンバーカードなのでしょうか」。課税証明書の取得の手間や時間に加え、それに伴う費用もかかるというのだ。一方で、マイナンバーを介した情報連携そのものに対する疑問も提起されてきた。そうした情報の利用のメリットやデメリットについて、人々の意見は一致していない。それに加えて、情報の利用が行われる現場でも様々な混乱が生じていることが、このたびの取材で改めて明らかになった。

 

高橋