大都会なのに不便すぎる?再開発で消えていく街並み、その最後の光景を取材


渋谷というと、「若者が集まる街」というイメージが強い。近頃も、ハロウィンでの騒動が物議を醸して全国的な話題になった。だが、渋谷という街には、他にも様々な「顔」が存在してきた。その「顔」の一つが、今まさに消えようとしている。そのことが先日にTwitterでも話題になっていた。

「渋谷区桜丘町」という地名をご存じだろうか。センター街などを訪れる観光客には、ほとんどなじみがない街かもしれない。JR山手線や埼京線に乗っている時に、桜丘町の街並みが線路沿いに見える。若者の派手な街という渋谷のイメージとは大きく異なる風景が、そこには広がっている。その桜丘町が、再開発で激変しようとしている。

 

 

先日、住民らが立ち退いて閑散とした街並みを撮影した人物が、その画像をTwitterに公開して、大きな反響を呼んだ。記者は以前に、ある案件で情報提供者への取材を目的に、この近辺を訪れたことがあった。その時に、情報提供者が「味のある、いい街なんですよ」と言っていたのが忘れられない。

情報提供者と待ち合わせたのは、桜丘町から山手線の線路を隔てた反対側にある、渋谷区渋谷だった。渋谷駅の新南口を出て、すぐ近くの場所だ。新南口から線路の向こう側へ、つまり、桜丘町へ行くのは容易ではない。桜丘町の街並みは線路のすぐ反対側に見えているにもかかわらず、一帯に歩道橋はない。

 

 

新南口から恵比寿方面へ向かう途中、線路の上にかかる道路が見える。その横にある階段を上って道路を経由して、線路の反対側の桜丘町に行くことが可能だ。しかし、階段を見落としてしまうと、恵比寿まで延々と歩いていかなければ反対側へ行けない。情報提供者は当初、その階段に気づかず、恵比寿方面へひたすら歩いてしまったという。

 

 

この近辺に勤務する前は、新南口を出れば桜丘町へすぐにたどり着けると思い込んでいたそうだ。ところが、初出勤の日、先述の階段を発見できなかったため、新南口を出てからの道のりは果てしなく遠く、愕然とした。階段の存在を知った後も、「なんて不便な場所なんだ。これが大都会・渋谷なのか?」と思っていたという。

だが、しばらく現地を散策しているうちに、街の魅力を認識するようになった。古くからの「名店」があちこちに存在し、歩くだけでも楽しい。あえて地図を持たずに細い路地を歩き回ると、いろいろな発見があったという。何軒か、行きつけの店もできた。「この『不便さ」のおかげで、昔ながらの街並みが残されてきたのではないでしょうか」。

そんな桜丘町が、間もなく大きな変化を遂げる。工事予定の記された看板が各所に設置され、既に立入禁止になっている区域もある。このたび、情報提供者に久しぶりに連絡を試みたが、残念ながら電話は解約されており、メールも届かなかった。現在の桜丘町に、そして、その変わりゆく姿に、氏はどのような思いを抱いているのだろうか。

 

 

 

 

高橋