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マイケルのようになりたいか? ~美容外科医ムサシ

ムサシ様、初めまして。

マイケル・ジャクソンをはじめとする人達は、なぜ過剰に美容整形手術を受けようとするのでしょうか?
私は、マイケル・ジャクソンが自分自身のコンプレックスである団子っ鼻を克服したスリラーの時点で、既に一流モデル並みのハンサムな顔立ちであったと思います。

一般人から見て、明らかに劣化するほどの手術を彼らが受けようとする理由が全く分かりません。
一度、美容整形手術を受けると、本来生まれながらに持っている美しさを認識できずに、改造人間のようになるまで依存してしまうのでしょうか?

また、彼らが劣化したときに、後悔をしているのでしょうか?


ご質問ありがとうございます。
いただいたお便りの中には大きく分けて3つの質問が含まれておりますので、それぞれについてお答えしようと思います。

まず1つ目。
「一度美容整形手術を受けると改造人間のようになるまで依存してしまうのか」
というご質問に対してお答えいたします。

美容外科クリニックにとって何度も施術を受けてくれる患者さん、「リピーター」はとても大切な存在です。
いかに多くのリピーターに支えられるかでクリニックの運営は左右されるため、どの美容外科クリニックもあの手この手で次回も来院してもらえるよう工夫をしています。

リピーターとして通っていただく代表的な治療方法は、ヒアルロン酸やボトックス注射、糸のフェイスリフト、レーザー治療などの「プチ整形」と言われるもので、どちらかと言うと美容院やまつ毛のエクステ、ネイルに通うような感覚に近い、ライトな施術を定期的に受ける患者がほとんどです。

一度美容整形手術を受けて整形手術依存症のような状態になる患者は稀です。
まぁどのクリニックにも少なからず依存症のような患者を抱えているのは事実なんですが、患者がそうならないように正しく導いてあげるのも美容外科医の大切な仕事のひとつです。

また、クリニックとしても「あそこのクリニックで手術を受け続けた結果明らかに改造人間のようになってしまった」と言われるのは当然不本意です。
そのため「患者の希望」と「現実的に起こりうる結果」のギャップをしっかりとインフォームドコンセントし、不自然にならないよう手術し、かつ「手術を受けた!」「術後これだけ変化した!」という満足感を感じてもらえるようにするのがとても大切なのです。

次に「彼らが劣化した時に後悔しているのか」という質問に対してお答えします。
これはタトゥーを入れるのと同じ感覚ではないでしょうか。

後悔している人は大後悔しているし、満足している人はオンリーワンの自分の姿に大満足しているでしょう。
後悔する人をできるだけ出さないように、「明らかにやり過ぎな手術は奨めない」というのも我々ベテラン美容外科医に必要な重要なテクニックです。

ちなみにタトゥーを消したい場合、入れる時の約10倍の費用と時間がかかると言われています。
美容外科手術の修正も同様、多額の費用と時間がかかる上に、何よりも修正を担当する外科医の経験と実績が問われるので、そういう意味では正しい外科医選びが非常に難しいです。

そして最後の質問。
世界的名声を持つ天才ミュージシャンの鼻に関して。
確かにある時点では、彼は一流モデル並みのハンサムな顔立ちになりました。
ただ、その後の彼の鼻の変化にはある特徴があります。

それは

例えば薬物の経鼻的吸入などといった要因によって鼻中隔が損傷、崩壊してしまった場合の変化にとても似ています。

それを修正するためにあの手この手を尽くして鼻を形成するのですが、組織の崩壊は止まること無くスピードを増します。
いくら家の柱をしっかりとしたものに変えても、家が建っている土地がグズグズなら家が歪んでいくのと同じです。
その結果鷲鼻のような、それでいて鼻先は顔面にめり込むような形になってしまったと考えられます。

ここ数ヶ月妙に鼻を啜っている
この数年で妙に鼻の形が変わっている
そしてその変化が明らかに美的な変化ではない

そんな場合は「整形依存症」ではない他の原因を考えてもいいのかも知れません。

 

 

美容外科医ムサシ

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