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労働組合が特定の候補者への組織票を集める手法とは?参院選の内部資料を入手

労働組合の組織票

第25回参議院議員通常選挙が終了した。選挙が行われるたびに各種の噂が出回るのが、「組織票」と不正の有無に関する話題だ。今回の選挙でも、そうした話題が一部で注目された。だが、その具体的な資料は案外、出回っていない。このたび当サイトでは、ある大手の労働組合の関係者に接触し、内部資料を入手することに成功した。

 

このたびの参院選の候補者の一部

 

労働組合が特定の候補者を支持すること及び支持の表明は、公職選挙法に抵触しない。もちろん、公示・告示前の事前運動や、有権者に特定の候補者への投票を強制することは認められていない。それらに抵触していると見なされれば、ただちに問題になるだろう。したがって、そのような事態は回避しなければならない。


支持者の獲得

情報提供者が関わっている組合では、組合が支持する人物を応援してくれる「支持者」集めが今春の時点で始まった。事前運動と見なされないように、組合が支持する人物を「応援する」という体裁で支持者を集める。組合員は指定された用紙に、支持者となる人々に署名してもらう。代理署名も可能だ。

支持者を募る際の注意点が、用紙の欄外に記されている。署名に先立ち、労働組合が支持する人物の事務所や組合から支援・協力の連絡が来ることなどを、支持者となる人に伝えて同意を得なければならないという。その上で、署名してもらう。最後に、組合員は同意を得たことをチェック欄に記入し、署名してくれた人に控えを渡す。

 

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選挙期間中の活動

選挙期間を迎えると、「投票促進・投票済チェック表」が組合員に配布される。「『支持者』に投票を呼びかけ、投票済みになるまで促進していただき、支持者全員が投票予定の確定・投票済みになりましたら、分会長に提出してください」と書かれている。組合員は指示に従って行動し、確認終了後にチェック表に記入して提出する。

 

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情報提供者によると、支持者となる人の多くは組合員の家族や親戚であるという。「投票促進」といっても、あくまでも「投票行為の呼びかけ」であり、特定の候補者への投票の依頼ではないという位置づけだ。組合員に宛てた文書では、投票用紙には個人名を書くこと、期日前投票を促すことなどの呼びかけも徹底するように指示している。

 

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今後の課題

こうした取り組みには、様々な課題があるという。支持者となる人に個人情報を記入してもらう際に、先述の確認事項を説明した上で同意を得るというプロセスは自身の職場では形骸化していると、情報提供者は問題視する。一定の規模以上の労働組合の場合、個人情報保護法が適用されるゆえ、個人情報の収集及び管理には細心の注意が必要だ。

また、組合が投票の促進を徹底するよう発破をかけすぎることに反感を持つ人もいるという。特に若い人々は、支持者への投票の確認やその結果をチェック表に記して提出することを「面倒くさい」と言っているそうだ。組織票による「成果」と思われるものは今回の参院選でも見受けられたが、この伝統が今後も安泰と言えるかは定かではない。

 

※モザイク加工は当サイトによるもの


高橋 

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