炎っていうものは人を魅了する魔力を持っていると思う。
「金閣寺って綺麗だな~。燃えたら、もっと綺麗だろうな~」
って感じで火を付けちゃった奴が昔いたらしいけど・・・・
今、湾岸埠頭にも炎に惹きつけられちゃった探偵が三人もいる。
ゴォ――――――――――
ポルシェのボンネットの上で踊り狂う炎
BOSS 「凄い!! 写真撮れ!!」
先ほど吉野さんに電話したら、
「何で、そんな楽しげなイベントに僕を呼ばないんですか!!」
と怒られてしまった。かくいう僕も、さっきから興奮しっぱなしだ。
見とれながらオイルを追加してたら、いつの間にかオイルが無くなっている。
「火・・・燃えてる・・・ポルシェが・・・」
ん・・・何をブツブツと・・・
あ・・・コンパス日高が石のように固まっている。
魂が抜けたような顔
笑っちゃいけないんだろうけど・・・
胸の前で小さく合わした両手が可愛い。
「ポルポルポルポル・・・・・」
・・・壊れちゃった??
「ポールゥ~シェ~!!」
突然、火を消そうとコンパス日高が手をバタつかせ始めた!
ダメだよ! 火傷するってば!!
僕達の制止も聞かず、バタバタと炎の上で手を振り回すが・・・
悲しいかな・・・
どんなに手を振り回しても、燃え盛る火は消えない・・・。
ようやく、火が消えた時・・・ボンネットの上に残ったのは
すげぇ焦げ跡
改めて思うけど・・・
とんでもないことをヤッちゃったんじゃないだろうか??
まっ、まぁ・・・大丈夫でしょ!
オーリーゴールドを何重にも塗ったんだし・・・
そっ、そうだよ。マークIIの時だって、焦げは取れたんだし!!
ビビッちゃいけない。
探偵に弱気は禁物だ!!
・・・なんて思ったんだけど・・・
いくら磨いても取れねぇし
オーリーゴールド・・・敗北・・。
アハハ・・・。
『湾岸や つわものどもが 夢のあと』
・・・なんちゃって。
ダメだ、こりゃ。
さ・・・風が出てきたし、帰りましょうか・・。
コンパス日高もそんな、人生に疲れた顔してないで・・・
上を向きましょう!!
そんな肩落としてたら、運勢まで落としちゃうゾ!!
「や~、ま~、き~!!」
どっ、どこから僕の刀を・・・。
BOSSに挑むって言ったのはあなた!