情報提供・ご意見ご感想などはこちらまで! 記事のご感想は一通一通ありがたく読ませて頂いております。

【イスラム国】湯川さん・後藤さんの人質事件は世界の矛盾が凝縮

現代イスラム研究の第一人者で現代イスラム研究センター理事長を務める宮田律さんが28日、日本外国特派員協会にて記者会見を行った。イスラム国によって、後藤健二さんがいまなお人質となっている事件の背景について、次のように語った。

――今回の人質事件は、世界の矛盾が凝縮するような形で現れていると思います。
中東イスラム世界の地図を見ますとイラク戦争・アラブの春を経て、イラクとシリアはずっと戦乱の状態にありますし、北アフリカも紛争のベルト地帯が拡がりつつある。
現状や将来に希望を持てない若者が増えている現状から、こういう暴力的な集団が支持を集め勢力を拡大しているという印象を持っている。
暴力は許されるものではないが、イスラム世界の現状を考えれば、こういう武装集団に入ることによってのみ、生活手段を得ることが出来るという若者たちが少なからずいる。
こういう暴力的な集団の活動を抑制するには、社会や経済の安定を図っていくことが、暴力的にこういう集団を制圧することよりも、先に考えるべきではないかとずっと考えています。

と、9.11以降、テロの発生件数は減るどころか増える一方で、軍事による安定は見込めないとの見解を示した。
では、日本はどうしたら良いのか。
――イスラム諸国の日本に対する感情はとても良かった。
日本は第二次世界大戦でアメリカに敗れ、東京五輪を(昭和の時代に)開いたように、めざましい復興を遂げた。
アフガニスタンやイラクはなかなか復興できない現状にある。それ故に日本の復興に対する称賛の思いがイスラム諸国にはある。日本が米国に追従して、米国主導のテロとの戦いに積極的に参加するのでなく、親日感情を活かして欧米とイスラム諸国との架け橋になるべき。

人質の解放交渉が上手くいっていない理由については
――アメリカに遠慮してイスラム原理主義勢力との交渉のパイプを持たず、ハマスやイスラム同胞団と対話してこなかった。今後、このような人質事件を起こさないためには、イスラム国とその支配地域の住民たちの分断をはかることが、長期的にイスラム国の暴力を弱めることになる。イスラム国の支配下におかれている人々が忘れられている。
日本が彼らに何らかの支援をしないと、彼らは今後、イスラム国を支持していくのではないか。

と指摘した。現在、後藤健二さんの人質解放交渉が続けられている。
ヨルダン政府は捕虜となっている自国パイロット奪還のために、イスラム国が求める死刑囚の解放を決めた。
多くの矛盾と時代の歪が交差する今回の事件、しかし一番の悪はテロリストのイスラム国だ。
後藤さんを名乗る、新たな音声メッセージが29日投稿された模様。どうか無事でいてほしい。

 

探偵ファイル政治部 アンリ

タイトルとURLをコピーしました