「栄町で、ぼったくりにあったんだ。」
はじまりは、友人の一言であった。
有名な話であるが栄町は、沖縄最後のちょんの間が存在する。
友人いわく
「普通のちょんの間には、飽きて客引きについていったんだ。それが、間違いの元だったよ。」
しかしこの友人は、酒に酔い過ぎており全容を覚えていない。
そもそも、普通じゃないちょんのまって何なんだよ?
…おもしろい。
私は、財布をもたずに一万円だけをポケットにねじり込みいざ、栄町へとのりこんだ。
正直怖かったが
近くには、交番もあるので派手で荒っぽいことは起きないはず…そう自分に言い聞かせた。
友人が言っていた客引きらしき老婆はいるが、中々私に声をかけくれない。
当たり前である。不測の事態に備えて私は酒を一滴も飲んでないため、足取りは誰よりもしっかりしている。
30分ぐらい散策しただろうか、やっと一人の老婆が話しかけてきた。
「60分5000円でどう?若い子いるよ」
きたきた。噂通りである。
「ほんとですか?」と疑っているふりをしてみせ
最終的には了承した。
先に老婆に5000円を支払い老婆についていくのだが、とにかく歩かせる。
15分ぐらい歩いたであろうか一件のアパートに到着した。
「ここの4階の右奥の部屋についたら、ノックしてね」そう告げ老婆は
いなくなった。
怖い。
しかし、ここまできたらいくしかない。恐る恐る、指定された部屋をノックして入ると…
さらに戦慄を覚えた。「!!!!」
さきほどの老婆よりも年配の女性がネグリジェ姿でいるではないか。
服を脱ぐように言われたが、どうみても沖縄の妖怪「キジムナー」を想像するシワだらけの老婆を目の前にとてもそんな気になれない。
このことか…
友人の言っていた、間違いの元とは。
それからどれぐらいの沈黙があっただろうか。私は、「持病の動悸が激しい。今すぐ帰りたい」と訴えた。すると、キジムナーはゴムを用意していたということで、ゴム代千円を請求してきた。私は使う必要もないゴム代を支払いダッシュで家に帰った。
私、ぼったくられました?
神里純平