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スキャンダルだけ大騒ぎ   ~岸博幸

読者の方々からご質問をいただきましたので、回答させていただきます。

①私のような理容・美容業界は不景気になると1番最初に削られる職業なので不安しかありませんよ・・・。世の中にお金が回らないとずっと回ってきませんし・・・。

→理容・美容業界が大変なのは知り合いからも聞いていますが、この苦境を脱するには発想の転換も必要ではないかと個人的に思っています。というのは、2020年時点で日本には理容室が約11万軒、美容室が約25万軒あり、どちらもコンビニの店舗数(約5万7千)を大きく上回っているのです。地域ごとに違いはあると思いますが、これでは理容・美容業界の過当競争はなくならず、不景気になる度に苦しい思いをすることになってしまいます。
 それを打開するにはどうすれば良いか。私も妙案がある訳ではありませんが、近隣の同業者がやっていないサービス(マッサージ、スパとか?)を強化するとか、または近所の気があう店同士で一つになって地元の常連さんを一層囲い込むなど、何かお客さんが喜んでくれる工夫をするのもありではないでしょうか。

②主婦をしております。TV等でも岸さんのご意見を聞き、そのとおり!といつも感じています。たぶん税金をちゃんと徴収されている8割かたの普通のサラリーマン層はみんなおもっていると思っています。
ただ言われていることを実現しようとすると、現在のほとんどの政治家、消費税をとっておいて確定申告では払わない姑息な自営業者など。もちろんすべての天下り関係企業をなくさなければならないように思いますが、それはまあ無理!

年収5~800万円で身を捧げ国のために働く政治家とすべて入れ替わってくれることはないでしょうし、仮に入れ替わったとしても、力を手に入れたとたん、周りも含めその人たちは変わってしまう。
まず何をどうしていったら良いのでしょうか?
岸さんがどう考えているか教えていただけたらと思います。

→すごく重要なご意見をありがとうございます。ご指摘いただいた通り、今の日本ですべてを正しい方向に変えるのは無理と思います。政府の官僚は無謬性を前提に自分たちが非難されないよう無難な政策しか講じないし、政治家の多くは今の特権的地位を維持するために当選を繰り返すことしか考えていないし、地方自治体の首長はもっと政府に喧嘩を売って改革を進められるはずなのに、大阪以外は政府から予算をもらうことを常に優先していますから。

 ただ、個人的には、ピンポイントで政策を改善することは十分に可能と思っていまして、そのためにまず必要なのは、今のままだと日本の将来は(経済も社会も安全保障環境も)かなり暗いという当たり前の将来予測が多くの人に共有され、それを前提に世間一般の皆様の“健全な怒り”がもっと前面に出てくるようになることではないかと思っています。

日本ではどうも、森友とか加計とかスキャンダル的な事件が起きると左派系の皆様を中心に大騒ぎする傾向がありますが、それよりも政府が講じている普通の政策にもっと多くの人が怒るようになり、かつ出来れば若者世代がもっと選挙(国政も地方選挙も)に立候補してくれるようになればだいぶ違ってくるのではないかと思いつつ、関西のテレビ出演では本音むき出しで僕も怒りまくってます。

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

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