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パパ活飲酒問題から学ぶべき教訓


 国会議員の吉川氏のパパ活飲酒問題を巡る展開がもう下火になりました。おそらく吉川氏は自民党離党だけで議員辞職はせず、多くの人が忘れた頃にしれっと自民党に戻るのかと思いますが、忘れないうちに吉川氏の不祥事から学ぶべき教訓を書いておきたいと思います。

 その教訓は簡単です。吉川氏の不祥事が発覚した原因は本人の脇の甘さとケチであることの二つに集約されますが、その程度の人物は所詮は国会議員の特権を維持したいだけ、庶民の痛みなど分かるはずはないので、大所高所から正しい政策を立案できるはずがありません。こういう資質の人は絶対に国会議員にしてはいけないのです。

 そもそも吉川氏の脇の甘さは論外です。聞くところによると、普段から六本木などで夜遊びに興じ、夜の世界の関係者の間では有名な存在だったようです。その延長でパパ活にも手を出したのでしょう。家族ある身でそうした遊びをすること自体非常識極まりないですが、百歩譲って許容するとしても、特に公人という立場を考えれば、絶対にバレないように“完全犯罪”をすべきでした。欧米の立場ある人はそれをわきまえて遊んでいます。

それが発覚する可能性も考えずに不特定多数の目に触れる形で遊び続けていたら、誰かがメディアに情報提供すれば今回のように一発アウトとなります。そうした自分の危機管理もできない政治家が、国民の安全や生活を守れるはずがありません。

そしてそれ以上に問題なのはケチだということです。パパ活の相手に4万円払ったようですが、聞くところによると普通は5万とか10万とかキリの良い金額の場合が多いようですので、もしかしたら値切ったのかもしれません。

これが心底ケチだなあと思うのは、過去の大政治家がどう遊んでいたかを知っているからです。名前を言えば皆さん全員がご存知の昭和を代表するある大物政治家(当然ながら総理経験者)は、時代が時代なので複数のお妾さんを囲っていました。

その政治家を良く知る先輩に聞いたところ、お妾さんと別れる時には、その政治家本人ではなく事務所の秘書がその旨を伝えに行ったのですが、お妾さんは当然激怒しますよね。すると、秘書さんがそのお妾さんに「では慰謝料はいくら欲しいのか」と希望の金額を聞くのですが、実際に慰謝料を払う段階では、どのお妾さんにも必ず言い値の倍の金額を払ったとのことです。

私がこの話を聞いて凄いなあと思ったのは、まずその政治家が人心掌握の術に長けていることです。言い値の倍の慰謝料が払われたら、お妾さんの立場からすれば驚きとともに、怒りの感情が感謝に変わるはずですから。

 かつ、それだけ多額の慰謝料を払ったということは、その政治家には相手への感謝や、相手が今後生活に困らないようにするという思いやりと配慮があったのではないかと思います。そういう心根の持ち主だったからこそ、この政治家は日本を良くする政策をどんどん立案・実行できたのではないでしょうか。

 それと比べ、国会議員の報酬の額を考えると、吉川氏が払った金額はあまりにケチくさいと言わざるを得ません。そのケチさが象徴しているのは、人への思いやりや感謝の情の欠如です。そのような政治家に、庶民の生活を改善して日本を豊かにする政策など作れるはずはありません。

 こんな情けない人が国会議員の特権を享受し続けるというのは何とかして欲しいものです。こういう愚かなことをした国会議員はワンストライクアウトで議員辞職させるような制度が必要かもしれませんね。

 

岸 博幸(きし ひろゆき)
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、RIZIN(格闘技団体)アドバイザー。専門分野は経営戦略、メディア/コンテンツ・ビジネス論、経済政策。元経産官僚、元総務大臣秘書官。元内閣官房参与。趣味はMMA、DT、VOLBEAT、NYK。

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