筆者の住む街では「ニセ電話詐欺多発警報」が発出されています。子供になりすまし、「会社のおカネを使いこんじゃった」とか「税務署から還付金があります」など、なりすましによって現金などをだまし取る犯罪ですが、ここへきて全国的に増加しているようです。警察庁によると、2024年の全国の特殊詐欺(電話詐欺を含む)の認知件数は2万1,043件、前年比で約10.5%増。多発警報が出た我がホームタウンでは、30日の間に警官などをかたる電話詐欺が実に12件も確認されました。
それにしても、なぜこんなにたくさんの人が騙されてしまうのでしょうか。毎日のようにニュースになっていて、警察も頻繁に呼び掛けているのに。地元の警察署に問い合わせしました。
筆者――電話の特殊詐欺の最近の状況は?
警察署「最近は百貨店やガソリンスタンドの店員を名乗るケースも増えてきました。「あなたのカードで支払いをしようとしている人がいるが、不審な点があるので確認させてほしい」などと言ってカードを狙う手口です。最近増えているのが、いわゆる「国際ワン切り詐欺」。海外からかかってきた国際電話に折り返してしまうと、高額な電話料金を請求され、その電話料金の一部が海外の通信会社を通じて犯罪グループに還元されるという仕組みです。」
筆者――騙されてしまう人が後を絶たないのはなぜでしょうか?
警察署「犯人は日中在宅している高齢者を狙います。もちろん警戒する人の方が多いのですが、何千人、何万人という人数に電話するので、一定数が騙されてしまう。個人的な考えですが、まじめで責任感が強い人が被害に遭いやすいと感じます。自分で解決しようと、誰にも相談せず、指示に従ってしまう。また、身内が困っているなら「早く助けてあげたい」と焦ってしまい、判断力が鈍ることもあるでしょう。」
筆者――「自分は大丈夫」とか根拠のない自信を持った人が危ないのかと思ってました。犯罪を阻止するなら、一歩踏み込んではどうでしょうか。特殊詐欺の学習を義務化して、テストに合格しないと運転免許が更新できないとか。被害者の体験談を集めて「私はこうして騙された」とか大々的に特集するのも効果的じゃないでしょうか?
警察署「警察の立場としては何とも言えませんが…意見として聴いておきます。」
ニセ電話詐欺の手口は組織化、国際化が進んでいて、海外に何十人規模の拠点を築き、日本人を餌食にする実態も知られるところとなりました。高齢化で認知能力が低下していく人は増え、法律を守るよりラクして稼ぐことを優先するヤカラが絶えない以上、ニセ電話詐欺は伸びしろのある犯罪といえます。
銀行やカード会社など支払いや税金に関する電話がかかってきたら、部署と名前を確認して、自分でその会社の連絡先を調べてかけなおす、不安があるなら警察に相談する。知らない国際電話は出ない、かけなおさない。とりあえずはそこを基本としましょう。

探偵アネマ
もと新聞記者。多様化社会の事件事故ウォッチャー。