●更新日 09/25●


ヤマト運輸の管理体制に疑問の声


ヤマト運輸で宅配ドライバーの勤務時間を改竄していたことが、先頃発覚した。この企業には、管理上の問題が他にも数多く存在するという。

2007年9月23日の読売新聞によると、ヤマト運輸が宅配ドライバーらにサービス残業をさせていたとして、労働基準法違反で是正勧告がなされた。出勤・退勤時刻の管理に使用している携帯コンピューター端末の記録と、給与計算に使用されている記録が異なっていた。その結果、実際よりも勤務時間が短く算出されていたケースがあり、記録改竄の疑いがあるとされている。

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ヤマトは3月にも、データ流出という管理上の問題が発覚している。同社HPに3月23日に掲載された文章には、「パソコンから流出させたデータは、既にネットワーク上から削除しております」とある。これに対して、一旦Winnyに流出した情報を完全に削除することに、どのような手法で成功したのかという疑問が出された。するとヤマトは、ネットワークにつながらないように当該のPCをはずしたという意味だと開き直り、Winnyのネットワーク上からのデータの削除はしていないと認めた。そして3月26日、上に引用した文章を修正し、「既にネットワーク上から削除」という表現を消した。「個人情報は守らなければならない」というHPのバナーが、何とも皮肉だ。

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同社関係者の話によると、これまでヤマトの大きな欠点の一つとされてきたのは、指示系統の確立が不徹底であることだという。その結果として生じた問題の一例が、配達先が不在だった場合の配達担当者の対応であり、この点についてヤマトは社員教育を徹底してこなかった。

配達先が不在らしいという場合、不在伝票を郵便受けへ確実に入れずに、無精をしてドアの隙間に挟んでいく配達員が多かったという。ドアの隙間に挟むと、配達先の住人が帰宅してドアを開けても、見落としてしまうこともある。住人が帰宅する前に、伝票が強風などで容易に吹き飛ばされてしまうことも多い。こうした理由から、不在伝票が届いていることに気づかないままになった、そうなりかねなかった、という利用者からのクレームもあるとのこと。「ドアに挟んでいくのはヤマトの配達員ばかりで、他の業者はきちんと郵便受けに入れていくのに」とまで言われたこともあるそうだ。しかも、そうしたクレームへの対応も杜撰だったという。以下は、その具体例だ。

Aさん(仮名)宅では、ヤマトの配達員が、ほぼ毎回のように不在伝票をドアの隙間に挟んでいってしまう。「不在伝票は郵便受けに入れてほしい」と営業所に何回依頼しても、全く改善されることはなかった。Aさんが「他の業者は郵便受けに入れてくれるのに、なぜヤマトの配達員はそうしてくれないのか。配達担当者にきちんと教育できないのか」という趣旨の質問を度々しても、営業所の責任者は「うちには特にそういう決まりはないので、配達員各自の判断に任せるしかありません。しかし、ご要望があったことは伝えます」という趣旨の返答が繰り返されるばかりだった。

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そして、ついに業を煮やしたAさんから、本社にクレームの電話がかかってきた。その電話を聞いて、本社の担当者は驚いた。なぜなら、本社では「不在伝票は確実に郵便受けへ」と以前から指導してきたつもりだったからだ。本社が早速、当該の営業所に問い合わせて調査したところ、営業所の責任者は本社の指導内容を一切理解していなかったことが明らかになった。Aさんからの電話があるまで、そのような事態があったことを本社も全く把握しないままだったというのだ。

これは、話の行き違いというレベルではなく、営業所も本社も管理体制に不備があったということだろう。クロネコのトレードマークは昔から有名だが、黒い情報でも有名になってもらっては困る。



高橋



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