●更新日 10/06●
何故母親が子供を殺すのか
育児に悩み、子供を殺して自分も死のうと思った…福岡小1男児殺害事件の母親は犯行の動機をそう語った。事故により手足が不自由な障害者の母は、集中力なく奇行を繰り返し特別支援学級に通う息子を育てながら何を思ったのだろうか。
この事件があってから"母親の子殺し"がクローズアップされ、日々虐待殺害などの報道を目にする。育児に悩み、突発的に子供を殺す―――精神に異常があるとも思われるこの行動だが、同じ様な理由で子供を"殺してしまいそうになる"母親は以外と少なくない。
一体、何が母親達をそこまで追い詰めるのだろうか?
"育児ノイローゼ"…こうして言葉にすると、他人に大した事に聞こえないが、ノイローゼになった母親の精神状態は他人には理解し難いものだった。
育児ノイローゼについて、都内の育児ノイローゼカウンセラーに話を聞いてみた。
他人には、育児ノイローゼは非常に理解しがたいものだと思います。疲れて少し憂鬱になっているだけで、大した事ではないと思っている人も多いのではないでしょうか?
―育児ノイローゼになるとどうなりますか?
症状は、人それぞれなので一概には言えませんが、マイナス思考や悲観的な考えになったり、感情がコントロールできず涙が止まらなくなったり、食欲不振や睡眠障害、思考能力の低下など非常に精神不安定な状態になります。産後鬱と言う病気を引き起こす事もあります。
―育児ノイローゼの原因は?
これも一概には言えませんが、完璧な母になろう、完璧な子育てをしようと言うプレッシャーに押しつぶされてしまう人が多いようです。近頃は、育児本なども多く出版されていますがそういったマニュアルに頼りすぎてしまったり、近所付き合いがなく、誰にも相談できず一人で悩みを抱えてしまう人が増えているのも原因の一つかもしれません。
出産後は、ホルモンバランスが崩れ誰しも一度はノイローゼ状態になるそうだ。
排泄により数グラム体重が減った事に大泣きしたり、うちの子だけまだ寝返りができない、それだけの事が母親達を精神的に追い詰める。
最近は、育児不安とも呼ばれるこの症状の相談件数は年々増え、同じく虐待事件の件数も増加している。育児不安やノイローゼが虐待にも繋がるとして、児童相談所にも精神科医がカウンセラーとして配置されているほどだ。男性には、中々想像できないかもしれないが育児中の女性の精神状態は他人が思うよりも厳しいものとなっている。"この母親は狂ってる"、"またキチ○イの犯行か"母親による子供殺しの事件が起こる度に、母親は狂人扱いされるが、本当はこの様な事件はいつどこで起こっても可笑しくないのはないだろうか。
実際に、今回の記事を書く為に自分の母に育児ノイローゼの経験を聞いてみた所、
アンタを窓から投げようとした。
と、自分は生後3ヵ月程で殺されそうになっていた事が解った。そうすれば楽になれると思ったそうだ。幸い、自宅マンション(4階)のベランダに出た所で正気に戻ったそうだが…あの時、母が正気に戻らなければうちの母も"狂人"のレッテルを張られ、私もこの世にいなかっただろう。
育児ノイローゼを経験した人は、ノイローゼ中を"生き地獄"と言う。
言い訳・甘え・怠慢…どうか、そう言わずに育児中の女性を理解してあげて欲しい。
"生き地獄"を理解せずその中に母親達を閉じ込め追い詰める、いつまで壁を作り続ける社会も今回の様な事件の原因の一つでは?
これ以上、悲しい事件が起きない様に地獄へと救いの手を差し伸べてみてはどうだろうか。
理解、たったそれだけでも多くの母親達が救われる。
あさみ
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