●更新日 01/10●


北海道の自動車学校、経営破綻で深まる混迷


経営が破綻した北海道の自動車学校について、関係者らから情報が寄せられた。

札幌の「愛育 安全相互自動車学校」(安田克昭社長)は経営状態の悪化を理由に、2008年11月21日に業務を停止し、従業員を全員解雇した。その後、関連企業であるバイク販売の「陸王」(同社長)と並んで、破産手続きがとられることとなった。そして、安田社長の実兄に当たる安田昭彦常務が自殺するという騒動も発生した。



A氏は、経緯を以下のように説明する。安田社長は2007年に体調不良を理由に退き、一旦は会長職に。その際、安田社長の古くからの友人であり専務取締役だった人物が、社長に就任した。この人物は大幅な経費削減を実現したが、入校生の減少や燃料費の高騰等も重なり、状況の改善は難しかった。

2008年6月頃、「中小企業支援協議会」に支援を要請し、新たな融資を受けるための計画が進められていった。ところが、従来の経営体制の存続に同会は疑義を呈すると共に、役員報酬の更なる減額等を求めたという。すると、同年10月、社長とその周辺の人物が業績悪化を理由に突如解任され、安田会長が再び社長に就任。こうして、計画は白紙となって銀行からの融資も受けられず、資金繰りが頓挫したようだ。

業務停止後、解雇された社員には11月分の給与のうち半分が支払われたのみで、その後は連絡が取れない状態が続いてきたと、A氏は語る。過去2年分の残業代も未払いのままとなっていたようだ。また、自動車学校の生徒らへの教習代の返金がなされてこなかったことも問題であると述べる。業務停止の前日まで、入校の受付を行なっていたとのことだ。

B氏からの情報によると、安田常務は自殺前、教習用車両等を売却していたという。それによって得られた金額が、社員への給与の一部や手続き費用に当てられているようだ。常務の死亡給付金は、在校生や陸王の顧客への返金、下取り金の支払いに用いられる模様。だが、元関係者らは会社側の対応に納得できているわけではない。

陸王が冬季に預かっている、バイクの取り扱いの行方も注目されている。従業員の解雇がなされた現状で、各所に保管されているバイクに関して、適切な対応が可能なのかという問題だ。このように、利用客らも不安を抱えているという状況について、会社側はどう考えるのか。現状と今後の対応について話を聞くべく電話取材を試みたが、自動車学校と陸王のいずれも関係者が不在の状態が続いているようで、回答を得ることができなかった。



これまでに労働組合が会社との交渉を試みてきたが、両者の溝は全く埋まっていないという。また、元従業員らの間でも様々な立場や考えがあり、「労働組合vs.会社」という単純な図式には収まらない複雑な状況にあるようだ。

関連情報、掲載内容への異論等があれば、お寄せ頂きたい。問題の全体像に迫ることで、それぞれの立場にある関係者や利用客らにとって、解決へ向けての一助となることを願う。



高橋




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